公共スペック・公共規格 Consulting & Support Company アラート、最新版管理、調査、翻訳、取寄せサービス
TOP > From Research Inquiries > NCS加盟について

From Research Inquiries

2010年03月01日

NCS加盟について

 FLISやNCS研究を推し進めている弊社では、最近防衛省からNCS加盟についての意見と提案を求められた。そこでここではその意見と提言の要旨を紹介する。この問題は防衛省のみならず、わが国の産業界にとっても大きく関わる問題として位置づけられるからである。わが国の新しい政策のひとつとしてNCS加盟に早期にそして積極的に取り組むことが重要である。これはわが国産業界にとっても大きなチャンスとなると同時にタイミングを失うと孤立することにもなりかねない大きな問題である。


弊社の意見と提言
 弊社が防衛省に行った意見と提言は次の通り。わが国はNCS加盟について数年前から実務者レベルで研究を行ってきており、NCS加盟の機は十分に熟している。わが国のNCS加盟は同盟諸国の信頼を得る大きなチャンスとなり、また国内産業に新しい市場を創設することになる。その意味でわが国は当初からTIER2を目指すことを公式表明すべきである。

 従来からわが国はFMSやDCSを通じて米国等からNSN部品を輸入してきており、NCS加盟によりNSN部品の輸出入を行うことがわが国の憲法上あるいは安全保障政策上の論点になるとは思えない。むしろわが国の産業界にとっては大いにプラスとなる案件であることが弊社の研究でも明らかになった。なお、わが国のNCS加盟の公式表明については事前にAC/135やDLISに相談すべきであり、また多くの実務者を育成させるためにはDLISのNCS大学を利用すべきである。AC/135やDLISは過去からのわが国の取り組みに理解を示しながら、且つ加盟することに積極的に協力している。

 ところで中国はすでにNCSに加盟する方向で検討していることを公式表明しており、また韓国はすでにTIER2国として世界市場に装備品を供給し始めている。わが国がこの問題を置き去りにしてきた原因は多々あるが、ひとつに縦割りの官僚行政がある。NCS加盟に際しては防衛省はもちろん、外務省や経済産業省、しいては財務省の協力が欠かせない。NCS加盟を正式に表明していない主要国は日本しかない。またこのことはわが国産業界にとっても大きなチャンスとなると同時にタイミングを失うと孤立することにもなりかねない大きな問題である。弊社の意見や提言は以下のような事実関係の収集に基づいたものである。
 
 
わが国のNATO政策は2007年1月に初めて当時の総理大臣が訪問したことに始まる。
 NATOによれば、2007年1月に初めて元首として当時の安倍総理が訪問し、わが国はNATOのパートナーであり、ここにその新しい第一歩を踏み出すとする演説を高く評価している。その後、わが国は2007年12月と翌年1月にそれぞれNATO最高指導者を招聘した。NATOによれば、わが国の実務者は多くのNATO主催のセミナーや会議での参加を通じてNATOのあり方を学んでいるとし、またわが国の憲法9条問題についてもわが国固有の問題として尊重する一方、わが国は対外的な責任を果たすことが重要であるとしている。
 
 
現在、わが国のNATOでの位置づけはContact Countryである。
 NATOによれば、わが国はContact Countryに属している。このContact Country とはNATOの枠組みに属さない接触国という意味である。NATOにはNATO加盟国を中心に、地中海対話国やNATOパートナー国など多くの枠組みがある。わが国をはじめとして、オーストラリアやニュージーランド、そして韓国の4カ国はこのContact CountryとしてそれぞれがNATOとの関わりを持っている。ちなみに兵站分野ではわが国を除いた3カ国は既にTIER2国として加盟を果たしており、NATOとの共有化を果たしている。
 
 
何故NATOなのか。
 NATOはわが国にとって馴染みが薄い。わが国のマスコミもNATOニュースを発信する機会が少ない。国民も産業界もNATOはともかく、NCSには全く関心がないのが現状である。政治的には2007年1月に初めて元首として時の総理大臣が訪問した以降、わが国はISAFなどを通じて資金援助をおこなっているが、わが国を取り巻く安全保障環境についての理解を求めているのが実情である。しかし兵站分野について言えば、わが国の同盟国である米国はいち早く兵站や装備品の標準化を通してNATOをテコ入れし、今日ではすべてのシステムが一元化され共有されていることを知らなければならない。米国で生まれたNATO標準化政策は今や世界中が自国の装備品を登録し、お互いに共有することでスピード化、コストの削減および最新技術の導入などが図られており、西欧諸国はもちろん、アフリカ、や中近東、アジアの近隣諸国までが既に加盟あるいは参画を表明している。ロシアや中国までもがNCSに参画することを表明している。
 
 
NATOのNCS戦略
 AC/135によれば、2009年5月現在、NCSのTIER2国は7カ国である。またTIER1国は22カ国である。またNATO加盟国を加えると56カ国に達し、その他加盟の意思表示国はアフリカ、アジア、中東諸国で急速に広まっている。AC/135によればNCSはすでに国連分類コード(UNCCS)を統合化しており、今後世界共通にして最大の製品DBにするとしている。
 
 
NCSとは
 NCSとはNATO Codification System(Codificationはカタロギングの意)のことで、NATO版FLISである。これによりNATOは迅速で最新の兵站情報を運用し、加盟国は識別、分類および補給のためにあらゆる装備品に13桁のNSN番号を付けて一元化し、共通したシステムを提供している。兵站情報とか装備品情報というと軍事色が強いが、材料や部品などが圧倒的に多く、用意された分類コードはプロペラ・ブレードから宇宙船、および石鹸入れから洗濯機までありとあらゆる需品や日用品などが1500万種類も整っている。データ諸源は保管、供給源、代替品、包装・梱包、特性値、危険性物質および廃棄などの情報が含まれる。なおNAMSAによれば価格情報は加盟国の間で未調整であるために非掲載であるとしている。(注)FLISには米国の価格情報が含まれる。
 
 
NMCRLは2009年になって初めてわが国の使用が認められた。
 NAMSA(NATO兵站委員会事務局)によれば、2009年になって初めてわが国はNMCRLの使用が容認されたとしている。このNMCRLはNATO版WebFLISとも言われるNCS情報サービスとして世界の56カ国が共同で使用している世界最大の装備品データ・べースとなっている。AC/135(NATO兵站委員会)はわが国のNCS加盟に非常に積極的、かつ協力的であり、ちなみにわが国はAC/135の太平洋地区セミナー(PACS)にオブザーバーとして参加しているが正式にNCS加盟表明はしていない。
 
 
中国は近年NCS加盟を仄めかしており、その準備をしている。
 AC/135によれば、中国がNCS加盟を仄めかしており、その準備に傾注している。また韓国によればNCS加盟について中国を教育している。中国はいまだNCS加盟を果たしてはいなく、またわが国のようなContact Countryにも属してはいない。しかしNCS加盟に積極的な理由としてTIER2を獲得することで国内産業の育成や廉価な代替品を世界市場に供給する狙いではないかと推測されている。
 
 
韓国はTIER2国として益々自国品を世界市場に輸出している。
 世界の装備品市場において、韓国の実績は目を見張るものがある。わが国のメーカによれば、最近、韓国製NSN部品の輸入が増加している。韓国によれば、NCSにより防衛装備品と民間品のリンクをしている。またNCSについて中国を教育しており、またロシアとの構築をおこなっている。またAC/135によれば韓国語によるNMCRLの検索が可能となったとしている。これらは取得改革によって設立したDAPAを中心に韓国NCBがデータ変換を強化し始めていることによるものである。韓国はNATOとの兵站情報の一元化により、NATOや米国からは兵站分野において最も信頼される国へと変化している。
 
 
わが国のあり方について
 現在、わが国では、WebFLISはともかく、NCSやNMCRLについての知識がまったく不足している。NCSについてマスコミも含め産業界や国民にはまったく知らされていないのが実情である。わが国は戦前から兵站軽視の時代が続いており、戦前では輜重(しちょう)と呼ばれ軽んぜられたことが今日の兵站システムの立ち遅れを招いている。またNCSの基本となるNSNの多くが部品や需品であるにも拘らず政治的な思惑に左右されてきた。しかしNSN部品の多くは現在でもFMSを通じて米国から輸入されており、NCS加盟によりわが国の良質なNSN部品を世界に輸出できる機会を早期に創設しなければならない。DLISやAC/135はわが国がNCSに加盟することを強く望んでおり、わが国の官民一体での体制作りが必要とされている。
 
 
【お願い】
本文は弊社の主張であり出来る限り日本語にしてお伝えしているが適訳であるとは限らない。また使用された数字や語句の完全性や正確さを保証したり主張したりするものではない。なお記載された内容を無断で引用または転載することは禁じられている。