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From Research Inquiries

2009年06月28日

F-22の日本輸出に揺れる米国の思惑(最新版)

- 米国議会向け3月11日付報告書(CRS)から-
 3月11日、米国議会図書館発行の米国議会向け報告書(CRS)―F-22戦闘機の日本への輸出問題―が更新され、最新版が発行された。これは2007年7月2日付に報告された内容を改めて更新したものである。そこで今回の【ニュース&コメンタリー】はその要約を紹介するとともに、前回の報告とどのように変わったのかを下線を引いて解説した。折りしも、6月26日米下院ではF22生産の継続予算を認める決議を採択したニュースが伝わった。


 日本では喉から手が出るほど欲しいと言われるF-22である。2007年の米下院議会では禁輸措置を継続する決定を下したが、今年は改めて禁輸措置の撤廃を論議するとしている。米国がF-22の輸出問題を通して、この2年間でどのようにこの問題を変化させたのかを探る好例である。なお、前回と内容が変わった部分に下線を引いたので参考にされたい。
 
 
■要約
 日本は米国からF-22A型ラプター戦闘機の購入への関心を示している。同機の輸出は現在米国の法律によって禁止されており、議会はこの禁止措置を再び撤廃することも考慮している。販売に対する議論としては米国の産業への潜在的な利益、日本およびその地域の防衛への貢献、また日本の自衛隊との米国の相互運用の促進、技術拡散および日本の周辺地域安定に対する懸念が含まれている。
 
 
■背景
 F-22A型ラプターは米国空軍の主に空対空のソビエト戦闘機を破るために開発されたステルス性能を有する世界で最先端な戦闘機で、 多くの操縦性を可能にする推力ベクトル・エンジン、敵レーダーからの検知を最小限にさせたステルス技術やひとつに集約された戦闘地域ディスプレイにセンサーからの情報を表示する航空電子技術などを融合させている。現在の計画では米国政府は2009年までの資金で183機のF22を取得する予定である。米空軍のある幹部の話では381機を要求しているが残りの198機を購入する資金はない。F-22sの輸出についての討論は、新しくはないが、資金調達(FY2009)の終了および組立てラインの閉鎖として指し迫っており、F-22の生産を継続するべきかどうかは、第111回米議会の当初に直面する問題となっている。 (後略)
 
 
■日本の防衛政策。
 アメリカにとって日本との同盟はアジアにおける軍備即応のプラットフォームを提供している。 約53,000名の米軍が日本または日本列島の至る所で駐留し89の設備の独占的に使用している。なかでも沖縄にある37施設は米国のアジア太平洋地域の後方支援基地となっている。オバマ大統領は日米同盟は東アジアの安全保障の基盤という彼の前任者の言葉を引用している。 しかしながら、東京の政府は政治的な交通渋滞により協定のいくつかは、地方の再調整を基づかせる抵抗により停滞している。現在日本は挑戦的な周辺地域状況に直面している。直接あるいは潜在的な軍事的脅威はその他の状況からの疑いと同様に日本政府の防衛政策への変更が軍国主義的な過去にもどることを示している。北朝鮮は2006年に平壌のミサイルおよび核兵器テストによって特に鋭く脅威に近いものを日本に生み出した。歴史上中国に対する影響力や対立および同時代の競争は中国政府に軍の近代化をさせ日本の防衛計画にとって心配である。日本の自衛隊は日本を取り囲む島々を囲むエリアに周期的な中国の軍事活動ー2004年における沖縄近海における潜水艦の侵入やガス田近くに接近した一群の軍艦などを検知した。日本政府はさらに韓国との困難な関係ー韓国人の40年間にわたる朝鮮半島や領土紛争において日本に対する不信感に直面している。
 
 
■米議会の問題
 武器の輸出について米国政府はケースバイケースで提案し、米国議会は調査している。日本へのF-22の輸出問題は米国内の利益に関わる東アジアにおける安全保障環境に関する双方の広い問題を提起している。輸出に賛成する要因としては米国の産業への潜在的な利益や防衛同盟国への貢献、そしてそれらの国々への米国との相互運用の促進が挙げられる。また特殊な武器の輸出に反対する要因としては技術拡散の可能性や周辺地域の安定性を害する可能性が挙げられる。
 
 
■米国の産業基盤
 F-22を日本へ輸出することは米国空軍の調達が終了した後の生産ラインを維持するひとつの方法となる。F-22の主契約業者であるロッキード・マーチンによるとそれにより3つの工場(マリエッタ、フォートワース、パームデール)で3,351人のF-22労働者を雇用することになると推測する。その他多くの労働者がサブコントラクタ(プラット・アンド・ホイットニーやボーイング)がF-22部品を生産することになる。概して言えば航空宇宙産業での雇用を促進することは米国の経済によって有益である。しかしながら、いくつかの航空宇宙に従事する仕事は米国の産業競争力の促進において他のものより重要である。生産段階ではより多くのF-22従業員が航空機の組み立てに関係する。それは当初の開発設計や初期生産に比べると比較的機械的であり未熟練である。日本向けの航空機生産ラインを維持することは、さらに主契約業者が一機当たりの航空機のコストを縮小するのを助けるだろう。労働と生産工程は時間にわたってより効率的になりまた研究開発または資本投資のようなコストは多数上に償却されるであろう。しかしながら米空軍が現在計画した183機の航空機に加え日本向けに生産された後により多くのF-22を購入した場合、DoDと米国の納税者は航空機製造コストが削減されることにより利益を得るだろう。最終的な産業基盤の問題としてはF-35統合攻撃型戦闘機(JSF)に関係する。もとは意図的に補足的な航空機であるが、F-22とJSFの能力や開発、生産は収斂してきた。暗黙にそうでなければ明示的に、これらの航空機は不足する調達資金により競合している。F-22生産の拡張はこれらの航空機を恐らくさらに鋭い競争の中へもたらすであろう。
 
 
■技術移転。
 米空軍の幹部たちは一貫してF-22を世界の最も技術的に高度で有能な戦闘機として売り込んできた。これらの技術における米国知的財産を保護し、敵によるアクセスを否定することは国家安全保障の最優先事項である。アメリカと日本がF-22の輸出で提示されるさまざまな能力上の条件に折り合いが付くかどうかは不明である。日本は米空軍によって空輸された同じあるいは類似した航空機を望む。日本は航空機をライセンス生産するか共同生産することを恐らく好むであろう。それはエンジニアリングおよび設計知識を得る機会や技術移転をより供与することになる。推測としてDoDは重要な技術を保護するためにそれほど有能でない航空機を輸出することを望み、ライセンス生産や共同生産することに強く反感を持つだろう。日本は伝統的に固有の武器生産である産業として防衛自主開発に大きな価値を認めている。
 
 最近アメリカとの協力で多少緩んだが技術移転の可能性は軍事と経済の双方に関係してくる。いくつかの国々と異なり日本はそれが輸入によって得る技術を再輸出する実績を持っていない。しかしながら米国の技術または知識の不注意な漏洩はさらに脅威である。この潜在的な危険性の例として報告された自衛隊関係者によってイージス武器体系に関係している機密データの漏洩がある。日本は軍事同盟国であり、また経済ライバルである。多数のF-22技術や工業プロセスは商業利用になる。F-22技術や知識が無数の日本の製品に取り入れられる可能性があり米国産業との競争において損害を与えるかもしれないと懸念している。
 
 2つ目の問題はF-22販売が潜在的に他の国々に引き起こす影響に関係がある。周辺地域の他の国々はF-22が日本における軍事バランスの不均衡を引き起こし、その結果周辺地域はさらに高度な航空機あるいは防衛システムを求めるように刺激を与えることになる。一度日本にF-22輸出の先例を作ると他の国々もF-22を売るように米国の政策決定者に圧迫する可能性がある。(後略)
 
 
■相互運用と相互依存
 最新の日米協定は米軍と日本の自衛隊の相互運用性、すなわち集合的な能力を増加させることにより同盟の利点を拡張するねらいがある。いくつかの統合施設は横田空軍基地での空爆作戦調整センターを含めて2010年までに使用可能と計画される。日本のF-22の取得は双方の軍が同一の最先端技術を使用することができるので相互運用設備を押し上げるであろう。米国の安全保障のために日本によるF-22の取得はアメリカの同地域からの航空機を回転させることを可能にする。同様にF-22を日本に売りさばくことによって、米空軍が必要とするが(予算上)余裕がない198機の赤字を補うことになる。

 しかしながらこれらの意欲にもかかわらず真実の相互運用の達成は困難なタスクである。伝統的に異なる国力を統合する作戦や訓練など構成上の制約、法的な制約および標準の制約は自衛隊の多数への参加を制限する。増加する相互の洗練された訓練は資金調達と設備が必要とされ、現在自衛隊の予算要求のためには圧力がかかる。双方の軍における言葉の障害や違いは更なる挑戦が必要である。加えて地域住民における米軍基地の騒音問題は特に多くの米軍再編案に反対を唱えている。
 
 
■地域安全保障
 中国と韓国はその軍事戦力を改良する意図が1945年以前の軍国主義に徐々に戻るという疑いがあるとする日本に対する懸念を表明した。あるアナリストはF-22を日本に売ることは地域を恐らく不安定にするだろうと警告している。F-22の販売はさらに軍拡競争の口火を切り、また日本がアメリカの同地域における代理人として印象付けされることに寄与する。これは中国関係を管理する米国の努力を複雑にし、韓国は日本と同一にするために航空機を購入する取り引きを求めるかもしれないことを示唆した。韓国の新政権は米国との絆をより強くする動きを行なうが、ソウル-ワシントン関係は、過去数年にわたって時々緊張している、 また、何人かの韓国人は、アメリカが朝鮮以上に日本との防衛つながりを優先的にすることで苛立ちを隠さない。

 日本の防衛当局は中国の精巧な航空機能力の取得増大による最新式空軍によりF-22の取得要請を正当化することを指摘している。東京と北京は2国間の関係の比較的強い状態にもかかわらず 国家は互いの意図を警戒しているまま2つの国は互いの意図を警戒している。軍事衝突の危険は小さいと考えられるが、島々に横たわる領土紛争やアメリカと中国間の台湾海峡での日本を含む武力衝突になる可能性がありエスカレートする可能性がある。この理由において米国と日本人コメンテータの中には「台湾のバランス」を維持するためにも日本へのF-22販売の必要性を支援している。
 
 
■日本の制約
 日本政府はF-22の販売を助長するかどうかの問題を提起することで自衛隊を増強することに多くの法的・予算上の問題に直面している。戦後の占領化においてアメリカの政府関係者によって起草された憲法は第9条において 日本の「交戦権」を禁止している。(中略)この禁止は日本がアメリカとのミサイル防衛に取り組むことを可能にするために緩められたが論争の問題は残されている。日本の軍事輸出に対する嫌悪感は日本政府がF-35型統合爆撃機を共同開発する国際コンソーシアムに参加しない決定に結びついた。

 日本でF-22の販売に影響する論争がなされる別の法的問題はF-22が攻撃用兵器かどうかという問題である。現状の日本国憲法の解釈では、自衛隊は単に防衛能力を所有することが認められている。軍用機はほとんど本質的に攻撃用あるいは防御用とするかが困難な柔軟な武器体系である。(中略)
日本の2007年度防衛予算は440億ドルで世界最大級のものである。しかしながら日本の指導者は財政支出を全体として抑制するように圧力をかけられており多くの省が財政改革の一部として予算削減に直面している。

 日本の防衛費はGDPの1%で伝統的に支出を制限されており、指導者はその基準(ベンチマーク)が法的ではないが超過することを警戒している。日本政府の防衛費は1978年から2007年までの1100億ドルにおよぶ日本に配備された米軍の費用および米軍再編用の200億ドルもの概算が含まれる。これらの負担に基づき何人かのアナリストは自衛隊がその不十分な調達システムのために「くぼんだ力」になる危険があると指摘している。日本において予算化への圧力は老化および人員不足を備えた人口減という人口分析の現実により高いままとなっている。
 
 
■F-22の代替案
 そこで日本のためのF-22への少なくとも4機の代替軍用機があるようだ。航空機はそれぞれ運用上の能力の点から強さと弱点がありそしてさらにこの報告書で概説したような相対した安全保障や技術移植および産業基盤問題などがある。
 
■F-35 統合爆撃機(JSF)
 JSFは多国籍の航空機として当初から設計され技術移転問題は残るがF-22によって示されたものよりはるかに容易に解決するであろう。レーダやアビオニクスがより高度であるJ-22に比べてJSFは同じほどには速くなくまた敏活でないがそれほど攻撃的でない能力を示す自衛条件としては日本に適するかもしれない。
 
■F/A-18Eの/Fスーパー・ホーネット
 F/A-18Eの/F(超オオクマバチ)は米海軍によって配備された戦闘機として最も有能なものである。それはF-22やJSFのようなステルス技術を提供しないが少なくとも2020年を通じて有効な戦力として予想保持され、改良と修正によるその戦闘能力が維持されるだろう。同機のメーカであるボーイング社は最近オーストラリアとの初の輸出取引に署名した。
 
■F-15 イーグル
 F-15(ワシ)は現在まで米空軍トップの戦闘機であった。それは1970年代に配備された。今日日本は203機のF-15航空機を展開している。新型の航空機導入の代わりに追加のF-15戦闘機を購入することで訓練や保守および供給での経済的な運用が可能となり、編隊規模での供給が実現する。F-15はF-22やJSFほど有能ではないがもし改良され、AWACSや電子戦向け航空機などの支援戦闘機と共に運用されたならば日本のニーズを満たすのに十分に有能かもしれない。

■無人戦闘機(UCAV)
 別の案としてUCAVを開発するか輸入することがある。米空軍ラプターのようなUAVは比較的武器プラットフォームの確立が適切である。しかし当初から戦闘用プラットフォームとして設計されたUAVと比較した場合は制限される。UCAVが将来の戦闘用航空機となることは間違いないと主張される一方戦闘用UAVはまだ配置されていない。UCAVと有人航空機を追求した場合、先進とするか時期尚早とするかの受け取られかたがある。

■ヨーロピアン・オプション
 日本はスウェーデン(JAS Gripen)やロシア(Su-30フランカーおよびミグ-29シリーズ)、あるいはからヨーロッパ諸国(ユーロファイタ、タイフーン)のコンソーシアムから高度な軍用機を輸入することができる。日本は過去の輸入品においてほとんど排他的に米軍に依存してきから米国以外のヨーロッパの航空機を購入することはありそうもないことだろう。しかしヨーロッパから航空機を購入することで日本は技術のセカンドソースを確立することになり、ヨーロッパの政府は日本市場に食い込むために非常に魅力的な条件を提示することが予想される。


■解説
 Potential F-22 Raptor Export to Japanと題したCRS Report for Congress(Mar. 22, 2009)はF-22戦闘機(別名ラプター:猛禽類)の日本への輸出問題を取り上げて包括的に論じており、前回報告書の更新を行った。この報告では日本の次期主力戦闘機の候補としてF-22を取り巻く新たなさまざまな環境を取り上げている。なかでも2007年にはF-22禁輸措置を継続する決定をした米国議会が、今回は新たに禁輸措置を撤廃する動きも出ていることが論じられている。またオバマ新大統領は従来からのブッシュ政権の政策を踏襲していると報じている。一方では、日本政府の政治的な交通渋滞により協定のいくつかが停滞していることも報じられている。いずれにせよ現在開かれる第111回米下院議会ではF22の資金調達問題や生産ラインの終了問題が絡み、おおきな決断が迫られている。ただ、この報告書によればF-22に限らず日本の次期戦闘機問題は米国や東アジア諸国の思惑を考えると今後とも紆余曲折することは避けられない見通しといえよう。いずれにせよこの報告は米国会議員に正確な情報を提供するためのものであり、幅広い視点からF22の日本への輸出問題を俯瞰している。  
 
注:CRSは米国議会図書館(Library of Congress)のシンクタンク。CRS報告書は米国会議員向けの公的サービスで一般公開(OpenCRS)されている。なおこの解説の性質上出来る限り日本語にして伝えているが適訳であるとは限らない。
  
 
 
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