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2007年04月16日

MILスペック運用に関するDODの新しい方針

911はMILスペックの方向性を変えたか 

日本では大きな関心事として取り上げられなかったようであるが、2005年3月29日付けDOD Policy Memo(通達)05-3は今までのMILスペック改革の方向性を大きく変えるものとして米国防関係者の間では大いに注目されたものとなった。そしてその「方向性」を変えた理由に2001年9月11日に起こったあの同時多発テロが大きく影響していると言われている。MILスペック改革以後、民間規格への転用が叫ばれてきた標準化文書の運用がこの通達により再び大きく変った現状を取り上げる。


DOD Policy Memo 05-3

この米国防総省(DOD)取得・技術・後方支援担当副長官補(AT&L)による全標準化担当責任者向けへの通達は、2005年3月29日付けPolicy Memo05-3であり、その内容は1994年に施行されたMILスペック改革により、MILスペックを取得・調達契約に適用する場合は事前にMDA(Milestone Decision Authority)による特別な認定(Waiver)を受ける必要があったが、この通達はその方針を改め、事前にMDAの承認なくしてMILスペックの引用ができることにした、というものである。

なお、この特認制度はMILスペック改革により誕生した制度で、従来からのMILスペックを契約で適用させるためにはその理由を添えて事前にMDAに申請をしなければならない特例措置となっている。そこで今回の通達はこのMILスペックを適用する上で特例措置を削除したものとしたわけである。

日本のMILスペック・ユーザにとっては、この通達に対して関心が薄く、あまり大きく報道されなかったが、実はこの通達のもつ意味が今後のMILスペックの動向を見極める上で大変重要なポイントとなるために、今回改めて取り上げた。

まずこの通達の意味がどういうことかと言うと、1994年のMILスペック改革はご存知のとおり、できる限りMILスペックの使用をやめ、民間規格の利用を促進することでより安く、良質な製品の取得・調達を推進しようとしたものである。また、どうしても従来からのMILスペックを適用する場合は事前にMDA(取得に関する決定機関)の特別認定(Waiver)を取らなければならなかった。今回の通達はこのMILスペック適用の規制を撤廃するものと受け取ることができる。

逆に言えば、この通達はMILスペックの適用をし易くするためのものという解釈も成り立つわけで、今後MILスペックが復活(Revitalization)し、従来過度に走っていた民生品活用が米国防衛業界に限ってはMILスペック品の登用が復活する可能性が高まった。もちろんこの通達は昔のようなお金のかかる古色蒼然としたMILスペック品を要求するのではなく、現代の軍事技術の粋を結集した、より複合的で効率的な要求内容となるわけである。


DOD通達05-3の主な内容

この通達の重要な部分をここで簡単に訳した。

「DODは(各標準化部門の責任者に対して)入札公告(solicitation)や契約に際し今後MILスペックやMIL規格引用のための特別認定(waiver)を不要とすることに対して取得・後方支援に携わる全ての標準化担当職員が確実に理解するよう、適切な対応をお願いしたい。しかしながら国防取得ガイダンス(Defense Aquisition Guidance)に記載されているように、この特認の削除は昔のやり方に戻るのではなく、DODが取ってきた意識改革への理解に基づき適切なMILスペックやMIL規格を適用するという意味であることを理解していただきたい。DODが取得や後方支援に携わる職員に求めるのは、計画を立案し、正しく決定し、適宜、MILスペックやMIL規格への適合性を求めるということにおいて、柔軟な対応をしてほしいということである。」


何故、今なのか

そこで囁かれるのは何故今、このような重大な方向転換がなされたのかということである。いくつかの資料や情報ソースによれば、次のような要素が絡んでいることがわかった。

① いわゆる911による同時多発テロはアメリカの国防ビジョンを大きく変えた。
② MILスペック改革の動機は主に資源不足からくるもので、逆に民間品活用による新たな問題点も浮上している。
③ そこでMILスペックと民間規格を得意の分野や項目によって「すみ分け」させることで新たにMILスペックの再活用(Revitarization)を図ることとした。

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