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2017年06月04日

【企業から見た装備品輸出】

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―契約条項(CCC)と知財権(IPR)保護への取り組みー

世界の装備品は、現在、あらゆる国が世界市場への積極的な参加を標榜しており、今後益々重要な意味をもつものになっている。このほど筆者は、豪州メルボルンで開催されたNATO装備品
カタログ・フォーラム(WCF)に参加して、益々その意を新たにした。わが国の装備品輸出については、既に多くの実績を上げている企業も多々見受けられるが、こういった装備品輸出の際に、取り交わされる契約に装備品カタログ条項(いわゆるCCC条項)が付帯していることは、ほとんど知らされていない。今、知財権(IPR)保護が叫ばれる中、企業は自らの手でCCC条項を精査し、また国としても、流失防止のための新たな政策が求められている。(DCメール 2017年6月1日 No.438)



■契約条項(CCC)と知財権保護への取り組み

米英仏など全てのNATO加盟国や豪韓を含めた非NATO国は、NATOカタログ制度(NCS)と呼ばれる防衛装備品データベースを共有している。例えば、わが国企業が装備品を輸出する場合、またすでに輸出している場合も、例外なくNATO補給番号(NSN)が付与されている。そのために、輸入国は新たな装備品を登録するために、輸出企業に必要な技術情報(図面、試験データ、仕様書など)の提供を義務付けているのだ。それがいわゆる、契約時に取り交わされるNATOカタログ契約条項(CCC)である。


つまり、NATOを中心とした世界63カ国では、NSNと呼ばれる13桁からなる世界共通の装備品番号を付しており、非軍需品を含むすべての装備品に付与している。(その数は実に1,830万件にも上っている。) そのうえNATOおよび非NATO国(ティアツー国)では、NSNが付与されていない装備品は受理できない仕組みをとっている。NATOでは、このNSNに膨大な装備品データを登録し、これらのデータを国の取得情報はもとより、ロジスティクス・データベースとして、相手国名、メ―カ情報、装備品情報、代替情報など各種データを埋め込むことで、世界の装備品SCMのソースデータとしている。そこで、全ての輸出メーカは相手国との契約時にこれらCCC条項に基づき、保有する技術情報の提供に同意し、署名するものとされている。


そこで問題は、これら提供する技術情報は転用されることができないように制度化されているが、やはり企業として提供する前にきちんとした精査をおこない、また輸出相手国との事前協議をすることが重要となっている。


当然ながらNATOカタログ制度(NCS)では、このCCC 条項は企業にとっての知的財産権(IPR)として保護されており、個別CCCの適用により技術データが識別目的のみに使用され、その他で使用されないことを保証しているが、自分たちの装備品IPRの解釈は、常に輸出企業側によるものであり、企業の率先した事前精査と研究が望まれているのだ。


そこで問題は、こういった知財保護をしなければならない輸出メーカが、CCC条項の基本となるNATO規格(STANAG)について十分に理解していない点が挙げられる。その結果、技術情報の過剰な公開、あるいは誤認情報の可能性が指摘されているのである。


これらNSNに掲載される製品データのIPRに対する懸念は、NATO主要国でも重要視しており、既に各国の政策に反映されている。例えば英国では、製品データは認可した国にのみ公開としており、また米国では、製品データの公開はするが、詳細なデータの提供は二国間協定に基づくとしている。


わが国は防衛装備品の輸出(海外移転)を本格的に進めているが、これら装備品に纏わる知財保護戦略の検討と同時に、わが国としてCCC条項に絡む、これら技術情報等流出防止策を具体化し、政策としてわが国の輸出メーカを保護していくことが今後の課題となろう。

                                   
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