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2016年11月30日

【加筆:装備移転と知財保護】

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= ツールとしてのNATOカタログ =

わが国は防衛装備品の海外移転を積極的に進めているが、これら装備品に纏わる技術情報等流出防止策や、知財保護戦略の検討も合わせて行うことが、さらに必要である。そこで今や世界標準となったNATOカタログ制度(以下NCS)への取り組みをより一層強化することで、装備移転と知財戦略を同時に進めていくことが喫緊の課題である。そこでこの春、当ブログにおいて装備移転と知財保護の観点でNATOカタログを解説したところ、大変好評であった。そこで今回は、先ごろ某機関紙に掲載された内容を改めて抜粋して解説する。(DCメール 2016年12月1日 No.426)


■加筆:装備移転と知財保護

わが国は2011年にT1(ティアワン)加盟を果たしたが、主に外国からの輸入品(供与品)を管理するために利用しており、現在においても国産装備品についてはわが国独自の管理体制を敷いている。しかし、装備移転という対外的な政策課題を展開するためには、いくつかの解決しなければならない問題が明らかになったのである。

例えば、わが国政府と民間企業が装備品の国際共同開発を検討する際、相手国がNATOまたはT2国である場合、当該装備品をNSN登録しなければならない。また、その際にわが国の民間企業は必要な技術情報(図面、試験データ、仕様書などを含む)を相手国側から求められた場合、提供することが余儀なくされるのである。

これはどういうことかというと、T1国は自らNSN登録することができないため、装備移転する相手国が代行して、すべての登録、維持、管理をしている。そのため相手国は、装備品登録に必要な技術情報の提供を求めてくる。もちろん、そこには双方の合意が前提であるが、ここで知財保護の観点からきちんとした対応が求められるのである。

この装備品につき物の統一番号(NSN)の登録は、移転相手国に提供する技術情報や資料が転用される可能性があり、ここに情報流失の恐れがあるのだ。そして、さらに重要な問題は、知財保護をしなければならないわが国メーカーが、この点について十分に理解していない点が挙げられる。即ち、全く知らないままに公表され、技術情報の過剰な公開あるいは誤認情報の可能性もある。

そこで弊社ではこれら技術情報等の流出防止策を次のとおり認めた。

(1) わが国は早期にNCSのT2国となり、NATO加盟国と同じ情報発信の権限を持ち、自らが登録する維持管理しなければならない。
(2) わが国は早期に組織を強化し、わが国装備品のNSN運用を促進させる必要がある。
(3) わが国は移転相手国との2国間協議において、これら情報流出の防止協定を締結する。

T2国になると、自らが自らの装備品登録や、維持管理が可能となるから、登録の際に海外に提供しなくても済む。

豪州や韓国では、T2国としてNATO国と同等に自国品の登録、他国情報の入手、そしてNATO理事会での発言権などがあるが、現在わが国が位置するT1国は登録された他国の装備品情報を入手することはできるものの、自国装備品の登録は他国がおこなう現状にある。既にアジア近隣諸国では豪州は1998年、韓国は2005年にT1国からT2国に昇格を果たしており、その躍進は既に読者の知るところである。

さて、装備移転を掲げるわが国防衛装備品行政にとってNSNの運用は避けては通れないデファクト・スタンダードである。そのためには、わが国はできるだけ早期にT2と呼ばれるNATO諸国と同様な、各国と共通した概念と共有する装備品を持つレベルに昇格しなければならない。

それがまさしく装備移転事案を具体化し、各国との共同研究や開発、しいては装備品サプライチェーンの共同運用に寄与するものと断言できる。また、国連(UN)における平和維持活動や災害救助活動等において、他国の装備品と共有化できることは、さらなる国際貢献に繋がるものとして大きく期待されるのである。また、そのうえ上記で取り上げたような、わが国独自の技術情報など知的財産を自ら守る体制を敷くことができるのである。


装備品というと、安全保障分野における物品に限定されるような誤解があるが、NCSには多くの一般製品や需品が含まれている。近年、海外における危機管理や災害救援に関し、日本とNATOとの間ではHA/DR(人道支援・災害救援)に関する共同研究が発足している。日本とNATOの双方が人道支援・災害救援分野における経験と教訓を共有するとともに,同分野での将来の協力の可能性を検討するものである。

そこでは、将来的にはこういったHA/DR活動を通して、日本が世界の平和維持に貢献し、積極的に参加することが求められるが、海外事案にとどまらずに国内外を問わずして、被災したひとびとを救済するための装備品ツールとして、NCSを通じて発展させてほしいものだと改めて念願するものである。


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