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2016年09月01日

【装備移転と企業の海外戦略】

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―NSNデータとCAGEコードに見る企業の在り方ー

この度、弊社は防衛装備工業会(JADI)と日本航空宇宙工業会(SJAC)の後援により、2度目となるNATOカタログ制度(NCS)の講演を行った。これは前回の講演が主に防衛省や経産省向けに行われ、好評であったため、今回の講演では、特に民間企業向けにNCSの基礎知識としてNSNデータと
CAGEコードを取り上げてその解説を行った。そこで本誌ではその概要をできるだけわかり易く紹介する。( DCメール 2016年9月1日 No.420)


NSNデータとCAGEコード

今やNATO(北大西洋条約機構)が定める13桁のNSN(NATO装備品 番号)は世界標準となっており、わが国が掲げる装備移転事業は、もはやNSN無しには成しえないと言えよう。これは、このほどNATOカタログ制度(NCS)の分科会(PACS)に招聘された筆者の感想である。それは移転先である相手国にとっては、NSN無しには装備品取得ができないからである。もっとも相手国が代行して登録をすればいいのだが、そこにはわが国にとってやっかいな問題があることがわかった。


やはり自国の装備品は自国政府がNSNを付与し、国際的な枠組みの中で管理していくのが望ましい。そのためにはわが国はティア2と呼ばれる格付けをNATOから取得しなければならない。NSNはNATOカタログ制度(NCS)の装備品識別において最小単位の製品コード(NATO装備品識別番号)である。わが国はこの制度にティア1として加盟はしているが、ティア1という格付けでは、自国でNSN登録ができないため、相手側である装備移転国が登録代行を行っているのである。


NSNは13桁の番号からなり、物品名、識別データ、管理コードや性能データなど、多数のロジスティクス情報が組み込まれている。NSNの数は米国だけで800万件、世界全体では1830万件を越す膨大な数である。このNSNの最大の特徴はなんと言っても民間企業により生産される装備品、例えば航空機部品から需品に至るまでの互換品や代替品情報が埋め込まれており、NCSを運用する各国政府ではNSNを通じて世界の共通装備品の取得調達を行っている。その結果、装備品の数はNSNの数倍に昇り、今や3600万件を越すと言われている。


一方CAGE(企業コード)あるいはNCAGE(NATO企業コード)と呼ばれる登録企業に付けられる5桁表示番号は、現在NATOに申請することで取得することができる。装備品を外国政府に輸出あるいは移転をする民間企業は、前もってCAGE(またはNCAGE)コードを取得しなければならない。


また、CAGE(またはNCAGE)コードは一つの企業で複数取得することができる。事実、世界各国あるいは国内に広がる事業場や工場、本支店をもつ企業がそれぞれの窓口から申請した場合、それぞれに別のコード番号が付与されているからである。


CAGEコードは、常に最新でなければならない。登録情報が変更された場合は、その都度、登録更新を行わなければならない。例えば合弁企業になった場合、社名が変更されたら即時に変更届をNATOに提出しなければならない。住所が変更した場合も、また担当者が代わった場合も同様である。現在、わが国の民間企業は総数で1万6000件ものCAGEコードを登録している。その中には現在使用されていないCAGEコードもあれば、情報が更新されていないCAGEコードもある。


NATOによれば、CAGEコード情報の定期確認は少なくとも1年毎に行うべきで、何年も使用されないCAGEは自動的にキャンセルされるケースも少なくない。その場合、既に自社製品に印字されたCAGEコード番号は使用できず、その自社製品は未登録品扱いとなり、ユーザーからクレームがつくので要注意である。


さて、わが国は現在、ティア1に位置付けられている。何度も言うようだがティア1とは自国において装備品登録ができないため、装備移転国側が代行して登録を行う。実はこの点において知財(知的財産)の観点から問題があることがわかった。先の講演でも力説したが、この知財流出の恐れについて、当のわが国の企業が知らないことがわかってきたのである。


ここでは詳しいことは避けるが、相手国側に言われるままに技術資料やデータを提供する必要はない。しかしそのためには基本となるSTANAG(NATO規格)とNCSの知識を習得しなければならない。わが国の装備移転に対する世界各国の眼差しは熱い。しかしそのためにはわが国政府だけではなく、装備移転の当事者である民間企業もNCSの国際的な枠組みを理解し、かつ企業自らのリスクや危険を排除した積極的な取組みがこれから求められていくものと思われる。


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