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2015年12月14日

【ネットに氾濫する危険性】

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―装備品DBのセキュリティ強化とまがい品対策ー

今年6月に米国政府は防衛装備品DBのWebFLISを非公開とし、代わりにPUB LOG FLISを一般ユーザ向けに公開した。しかし、PUB LOG FLISはセキュリティが強化され、使いにくいという。その意味ではNATOが提供する世界の装備品DB「NMCRL」は有料ではあるが輸入装備品DBとして最適であろう。今回はこういった欧米政府機関が取り組む防衛装備品DBの現状とインターネットに氾濫する無数の危険性について紹介する。(DCメール 2015年12月15日 No.403)



■装備品DBのセキュリティ強化とまがい品対策


米軍は車両部隊にある戦車部品が壊れたために交換部品を必要としたが、その部品が旧式であったためアイテム・マネージャは調査を行ったがどのメーカも製造していないことがわかった。そこで急きょ車両スペシャリストが代替品を探すことになった。ロジスティクスの世界では戦闘用装備品は常に最優先事項であるためだ。
 
アイテム・マネージャとスペシャリストはこの旧式部品に互換品があることがわかり、そのことを要求元に通知した。要求元では運用上の問題があるかを評価したうえでこの互換品の採用を決定した。問題はこの互換品を見つけるために多くの時間を費やしたことであった。そこでアイテム・マネージャは互換品採用が決定されると直ちに全軍に正式通達し今後短時間で供給できるように配備したのである。
 
このように米国やNATOではFSC(補給分類)やINC(品目名)を通してすべての装備品の見直しを図りNSN情報をふるいにかける。そして重複や旧版品、まがい品などが見つかると立ちどころにこれらのNSNは排除されるのである。
 
一方メーカや契約業者に対してもこれら旧版部品情報の収集に努め、代替品や互換品を探し出すことの協力を要請する。このように旧式部品がもたらす弊害を排除するため、また利用者に代替品検索の可能性を与えるために常時、官民一体となって努力しているのである。

ところがこのたび米国政府はセキュリティ上の問題でWebFLISを非公開とし、新たに公開用のプラットフォームを用意した。 この新しいシステムはPUB LOG FLISと呼ばれ、一般公共ユーザ向けに提供されることにしたが、セキュリティ強化のために利用者はソフトウエアをダウンロードし、プログラムを通して情報を取得しなければならない。

また利用者には米国政府の強制基準(Standard Mandatory)として常時監視下におかれることの同意を求めるバナーを貼ることにした。これらの事例は公共機関としては珍しいことではないが、利用者にとって手間のかかることであり大変面倒なことである。しかし現代において信頼性のある装備品公式情報を取得するということはこういうことなのである。

一方インターネット上では無数の民間企業による装備品情報サービスが乱立して誰もが簡単に、しかも無料で装備品情報を取得できるようになった。このような民間の便利なサービス自体に問題は無い。問題はそこに掲載された情報の信頼性、精度なのである。

米国では情報公開法に基づき民間企業からの申し出があれば所有情報の公開が義務付けられており、情報サービス業者は有償、無償に関わらず公的情報を取得し利用者に提供するビジネス展開をすることができるのである。

問題はこういったサービス業者から提供される装備品情報は信頼される情報だけでなく“まがい品”情報も含まれているということである。

サービス業者は基本となるNSNや品名、特性値などの装備品情報を公的機関から取得するが一方世界中のメーカやディストリビュータからも代替品や旧式部品情報を収集する。またストックして販売するネット通販業者も氾濫している。これらのなかには不合格品や模造品等“まがい品”が数多く含まれるが多くは運用するまで分からないのが実情である。

現在、わが国の自衛隊や防衛産業界では大量の輸入装備品が使われている。むしろ国産品より多い位である。そしてこういった“まがい品“対策に手をこまねいているのも事実である。

インターネットでは世界中のあらゆる部品や装備品がいつでも、どこでも入手できる。利用者にとって大変便利で都合がいい。しかし考えてほしい。装備品は特殊な規格により慎重に製造され厳格な納品検査に合格することでその運用が守られる。便利だからといってむやみに情報収集し、取得してはならない。

ただ上記のように市場では正規品でなくても、代替品でもいいから欲しい場合がある。どうしても欲しい旧式部品がある。こういうときは喉から手が出るほど欲しいのが実情だ。

わが国の政府関係者も“まがい品”問題は国産装備品には皆無であり、輸入装備品に顕著であるとしているが、ぜひとも政府機関を交えた産業界全体の問題として共通したルール作りやシステム作りが必要である。またそのためには幅広く海外諸国との共通化を進め情報交換を緊密にする必要がある。弊社ではこのような問題を根絶させるために働きかけを行っている。

なかでも弊社が推進するNMCRL-WEBは迅速な情報を世界中のユーザに提供することでグローバルな装備品情報の瞬時取得が可能となり、世界280万にもおよぶメーカ( NCAGE )の3670万もの部品や装備品情報の代替品情報( Parts Number )やメーカ情報が取得できるようになっている。

弊社はかねてより研究会やセミナーを通してわが国が要求する輸入装備品が納入検査において不良品や欠陥品扱いされる問題やMILスペック改版による代替品の枯渇問題をDODやNATOと検討してきたが、今後はNMCRLウェブ版データベースを採用することでわが国の輸入装備品にまつわる不良品や欠陥品あるいは間違い品問題を一層し世界共通の装備品取得ツールとして導入を図ることが望ましいと考えている。

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