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2015年05月15日

【窪んだ軍(Hollow Force)への補強策となるか】

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―安保法案の閣議決定―

昨日わが国政府は集団的自衛権の行使を容認する新たな安保法制の関連法案を閣議決定した。これにより法案は衆議院に提出され与野党間の本格的な論戦がいよいよ始まる。ところでこういった事態を見るにつけ8年前に本ブログで紹介した米国議会向け報告書(CRS)において当時の自衛隊がその不十分な調達システムのためにHollow Force(く窪んだ軍)になる危険があると指摘したことを思い出した。今回の法案成立がこういった窪みへの補強策となることは間違いないところであろう。当時筆者が指摘したようにわが国はさまざまな抑制(Restraint)によって自らを縛りまた周りから縛られているが、いかなる場合においても拮抗する力を保持しておかなければならないことは自明の理である。(DCメール 2015年5月15日 No.389)


■窪んだ軍(Hollow Force)

2007年に発行された米国議会向け報告書(CRS)では当時の日本の抑制(Japanese Restraints)と題する項目の中で次のように報告されていた。

日本政府はF-22の購入を助長するかどうかの問題を提起することで自衛隊を増強することに多くの法的・予算上の問題に直面している。現状の武器輸出についての自主規制の下では、日本は原則として他の国々へ武器部品および研究データを輸出要求する共同開発に参加できない。

この禁止は日本とアメリカとのミサイル防衛に取り組むことを可能にするために緩められたが論争の問題は残されている。日本の軍事輸出に対する嫌悪感は日本政府がF-35型統合爆撃機を共同開発する国際コンソーシアムに参加しない決定に結びついた。

日本へのF-22の販売に影響する論争がなされる別の法的問題はF-22が攻撃用兵器かどうかという問題である。現状の日本国憲法の解釈では、自衛隊は単に防衛能力を所有することが認められている。軍用機はほとんど本質的に攻撃用あるいは防御用とするかが困難な柔軟な武器体系である。

だからF-22は自国や自国の空軍への攻撃あるいは固有の領空への敵からの攻撃から防御する役割のように主として防御用として使用することができる。F-22の開発計画が連邦議会による予算削減によって脅かされた時、計画支持者はその攻撃能力がその継続を命ずるものであると主張した。

競合する領空に侵入し、かつ敵の防御を破壊する能力をもつというF-22に対する一貫した重点は、F-22が将に攻撃用武器であることを信じさせた。

日本の2006年度防衛予算は420億ドルで世界最大級のものである。しかしながら日本の指導者は財政支出を全体として抑制するように圧力をかけられており多くの省が財政改革の一部として予算削減に直面している。

日本の防衛費はGDPの1%で伝統的に支出を制限されており、指導者はその基準(ベンチマーク)が法的ではないが超過することを警戒している。日本政府の防衛費は1978年から2007年までの1100億ドルにおよぶ日本に配備された米軍の費用および米軍再編用の200億ドルもの概算が含まれる。

これらの負担に基づき何人かのアナリストは自衛隊がその不十分な調達システムのために「窪んだ軍」になる危険があると指摘している。日本において予算化への圧力は老齢化および人員不足を備えた人口減という人口分析の現実により高いままとなっている。


【筆者解説】
この報告では当時わが国の次期主力戦闘機の候補としてF-22(制式名称F-22A)を取り巻くさまざまな環境を取り上げていたがそこには米国産業界の事情や東アジア戦略をにらむ米国の思惑が滲み出ており大変興味深かった。

米国下院では去る2007年7月25日F-22禁輸措置を継続する決定をしたがそれがここで論じられているすべての解決策とはならなかったしF-22に限らず次期戦闘機問題は今後とも紆余曲折することは避けられない見通しであった。               

そこでここに取り上げた一節は全体の一部分に過ぎないが、あるアナリストによる提言として当時のわが国が不十分な調達システムのために「窪んだ軍」になる危険があると指摘している点に注目したのである。

世界的に見ても決して少なくないわが国の防衛予算のうち、これも決して少なくない部分がわが国を支援する米軍用に当てられている点を指し、東アジアにおける周辺諸国とのバランス上統合力では拮抗するもののわが国固有の軍とした場合明らかに「窪んだ軍」(Hollow Force)として見なされる危険性があるとしているからである。

将に日本はさまざまな抑制(Restraint)によって自らを縛りまた周りから縛られているが、いかなる場合においても拮抗する力を保持しておかなければならないことは自明の理である。


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