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2015年03月13日

【MILスペック研究】

- MILスペックと代替民間規格について -

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わが国のユーザはMILスペックを読みこなすうえで多くの問題を抱えている。弊社はわが国のMILスペック・ユーザからの調査依頼や質問、クレームなどを解決するために30年以上もの間米国防総省(DOD)と具体的な事案について調査・研究を重ねてきた。そしてこの膨大な資料は弊社の貴重な財産となっているだけでなくユーザからの厚い信頼に応えるバックボーンとなっている。今回はMILスペックと代替民間規格について紹介する。(DCメール 2015年3月15日 No.385)


■MILスペックと代替民間規格

1994年のいわゆる「MILスペック改革」の中で、DOD長官は民間規格への代替(ここではNGS(Non Governmental Standardsという)に関して次のように述べている。

MILスペックにおいては、成果スペック(PRF)は新規システムや主要な変更、現方式へのアップグレード、非開発品および民間品を購入する際など、いかなる取得計画においても利用されるものである。しかしPRFスペックの使用が実践的でなければ、NGSが使用されるものとする。また容認できるNGSもなくまたPRFスペックやNGSの使用が費用対効果上良くなくMILスペックが正確な設計ソリューションを定義付けするために必要である時はMILスペックの使用を最後の手段として特別措置をもって認可する。またNGSの使用については実務的にMILスペックをNGSに置き換えるために取得・技術担当次官は各工業会と一致協力していくことを奨励する。次官はチームを編成し変換または置換する規格候補を確認するために連邦供給クラス(FSC)や標準化領域を改めて見直すものとする。

このようにMILスペック改革は従来からのMILスペックを①出きる限りPRFスペックに置換する②民間採用規格はPRFスペックへの置換が実践的でない場合に登用される、③その上従来型のMILスペックの継続の場合、実際にはディテール・スペック(DTL)を承認するという方針を打ち出したのである。

このようにDODは古くから民間手法やコストならびに技術的な見地からMILスペックを見直し民間規格に移行する措置を取ってきたが特にMILスペック改革以降はそれが顕著となった。これらは代替民間スペックとかDOD採用規格などとして民間規格団体にその改廃を委ねる方法をとってきたがDODはこれら移行したり採用した民間スペックや規格をMILスペックと同様に運用するとしているのである。

注:なお、現在の代替民間規格は約9000件あまりで、MILスペック全体が約3万件であるから約30%程度が採用されているといえよう。またこの比率はこの10年変化はしていない。残りの約2万1000件は防衛航空宇宙における厳格で信頼性の高いMILスペックであり規格であることに変わりはない。

一般にこれら代替スペックやDOD採用規格の改廃責任は民間団体に移行しているためにMILスペックとの表記が不統一であったりまた意思の疎通も無い場合がありユーザがトラブルを抱えるケースも少なくない。DODはこれら代替民間スペックやDOD採用民間規格の改廃は民間規格団体によるものとしてその内容についての疑義はそれぞれの規格団体に委ねている。

ところでDODはMILスペックを民間規格に移行させ代替する場合は、必ず移行先のスペックや規格を先ずDOD採用登録とし、それを公表する。と同時に移行した民間スペックや規格を代替規格として公表する。これによりMILスペックは公式に民間に移行するのである。これを順序立てて述べると以下の通りとなる。

① 調整作業
MILスペックや規格の民間規格の採用、移行およびMILスペックの廃止はDOD内部組織における調整作業がある。それは1つのスペックや規格が改廃されるということは、単に制定部門や管理部門のような現場部門だけでなく、内容に係わるあらゆる部門(部品、材料、品質管理、試験、資材、調達など)が関係してくるために、全部門の合意が必要になるからである。そのうえで上部組織からの改廃や移行に関する正式な手続きとなる。
 
②  廃止作業
DODは調整が終了することで、MILスペックや規格を正式に廃止するための文書を作成・周知し、その際に民間規格等に移行する場合はその旨も掲載する。
 
③  採用作業
民間スペックや規格が正式に代替規格として認められるためには前もってDODが当該スペックや規格を正式採用しなければならない。そのために民間スペックや規格の採用通知を発行する。
 
④  移行・代替作業
正式に移行手続きが完了すると管轄がDODから当該民間団体に移行される。一般的に民間団体では当面は「暫定措置」としてMILスペックのままで管理しながら本格的な民間規格に改める手続きをとる。また、MILスペックが既存の民間規格に直接変更される場合があるがこの場合は「暫定措置」はとらない。
 
このような手続きを経てMILスペックは正式に民間規格に移行され代替規格としてMILスペック同様に運用されるのである。

ところでMILスペックはその記載の中で製造方法やプロセスについても言及するが、民間規格では表記された数値の規定に留まっている。そこでスペック・ユーザとしては、こういった問題になんらかの技術的な見解がほしいものであり、またそこに代替規格に対する理解がなされるものと思われる。しかしこのような質問に対して民間規格団体は次のように回答している。

はじめに民間規格の利用について説明をしたい。民間規格は多くの製造メーカやユーザの意見の総意から成り立っている。であるから民間規格はリスト表記された特性の最良なる集約の表れであると言えよう。またその意味ではMILスペックと違い任意(Voluntary)による規格であると言えよう。

これら民間規格は有益な付加価値をメーカやユーザに与えている。規格を利用するすべての関心事は経済的な節減である。しかしリスト表記された特性に対しての見解の相違については、常にメーカとユーザが協議し、同意するかしないかということになっている。だから民間規格にリスト表記される特性については、規格協会が総括的な審査行ったうえ、すべてを考慮した結果の表記となっている。

一般的に記述的にもまた技術的にも有効であることを保証するために、民間規格は5年ごとの定期的な見直しが行われている。このように技術的な先進性は民間規格の改訂の原点となっているのである。民間規格にとってMILスペックと違う点は基本原則がコスト要因であるということである。

DODがMILスペック改革以降PRFスペックの本格的登用を進める裏にはこういったMILスペックの民間規格化が挙げられよう。従来のMILスペックがどちらかといえば経済的観念を無視して要求に対した技術的な追求であったが、この新しいPRFスペックは民間規格のように目標数値を達成するいわゆる成果型のMILスペックに変容した。これにより従来のような過度にわたる要求は排除され目標達成の手段は問わない、それこそ民間規格的な発想が原点にあるのである。しかしPRFスペックはあくまでもMILスペックである。

最後にもうひとつ触れておきたいことがある。スペックに慣れ親しんでいるユーザなら知っていることだがMILスペックにはSHALLが多用されてきたが代替民間規格やPRFスペックではMAYが多用されている。これは「するものとする」と「することができる」と訳されて要求に対する強制力(MANDATORY)が弾力的に、あるいは緩やかになったことも見逃すことができない兆候となっている。

 
 
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