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2014年05月15日

【NATOカタログへの道】

ー世界共通の装備品識別システムー


防衛省は2011年4月に欧州装備品の類別業務を効率化するためにNATOカタログ制度(NCS)に加盟した。欧州製航空機などの装備品情報の取得が主な目的だ。しかし加盟はしたが国産装備品の登録はできない。そのためには現行制度の改革やNATOの厳しい審査基準、システムのIT化など多くの時間と労力を伴う。しかしこれ以上の遅れは許されない現状にある。あたらしく締結されたNATOとのパートナーシップ契約を実行するうえでも飛躍的な改革が望まれている。NO.336で紹介された内容を書き加えたので改めて読み直していただきたい。(DCメール 2014年5月15日 No.365)


■今、何故NATOカタログなのか。


NATOカタログ制度(NCS)は米国連邦政府カタログ制度(FLIS)を元にして構築された。上記のごとく現在では世界の主要38カ国の装備品データ約1750万件が収録されている。FLISが米国市場向けであるのに対してNCSは世界の65カ国が加盟しており、まちがいなく世界最大の一元化された装備品データベースといえよう。

NCSやFLISなど欧米のロジスティクス情報は即応性すなわち装備品の欠落時間を短縮できることにある。しかし本当の価値とは装備品の核であるNSNに取り込まれた各種識別データにより、在庫確認や保存期間、代替装備品の識別および価格情報の提供などにより予算の最適化や武器システムのライフ・サイクルでの設計、製造および修理プロセスの改善や調達業者登録、重複物品の識別援助など膨大なロジスティクス・データの一元化が行なえることにある。


中でも代替品情報や技術特性、企業コード、参考価格情報などは利用頻度が高い。しかし最も遠大なメリットは装備品市場が世界のNATO諸国のみならずアジアを含めた世界の各地域を巻き込んで多極化するなかで装備品の取得要求から保守そして廃棄に至るまでのライフ・サイクル管理を提供することが可能となる点が挙げられる。NCSの提唱者である米国防総省(DOD)によればNSNの総合コスト概念はNATO諸国や国連( UN )における物品取得の最適ツールとしてすでに世界中のユーザを抱えるまでに膨れ上がっている。

ライフサイクル・コスト(LCC)概念やPBLを掲げるわが国防衛装備品行政にとって、また装備品輸出を標榜する国内産業界にとってはNCSへの本格的な参入とNSN運用は最早避けては通れないデファクト・スタンダードとなっている。170万品目ともいわれるわが国の国産装備品をNCSに登録するするためにはわが国の現行制度を変え、NATOの審査を受けなければならないが合わせてFLISやNCSで採用している識別データ構築をも図らなければならない。


NATOではスマート防衛を創設するスマートNCSという標語で品目識別における装備品データの国際規格化の作業をこの10年間に進めてきた。現在SSCプロジェクトはフェーズ4に入り識別をサポートするソース・データ交換を自動化するISO8000の採択によりデータ品質管理が大幅に改善された。

例えば英国では初めてISO8000とISO22745に準拠したプラットフォームにおいてテリヤ―型戦車の全装備品を完全に識別化することができ、全体の72.5%の技術データの構築が高信頼性に基づき達成されたとしている。

特にNCSトランスフォーメーション運営グループ(TSG)は新しい手法とプロセスを更新しNCSの効率と品質の向上を目的としたシステムとして各国共通の相互運用性の強化を推進している。今後NCSはTSGに集中している5つの主要な分野(①供給源識別化、②米国FLIS変換システム、③識別化サービス導入、④NCSXML導入、⑤NCSアプリケーション•データからなるプロジェクト・ロードマップが示された。このTSGは各国NCBとITサポート、NAMSAとの間の相互作用のためのフォーラムとしてNCSの次世代化を牽引している。

NATO装備品DB(NMCRL)を直接管理するNAMSAは常に新しい機能を備えたNMCRLを強化している.。NMCRLコード化を分かりやすく説明するためのユーザーフレンドリーモードと経験豊富な専門家のための高度モードを採用しさらにNSNの詳細画面を向上させることと新たにパッケージング・データを追加することを準備している。

NATOは多種多様な装備品データを統一し共通化することが余儀なくされているが、中でも処理スピードやコスト削減を可能にするSSC(次世代識別システム)はフェーズ1( 第一段階 )でSTEPファイルを利用して再構築を図り、フェーズ2では新たに国際規格化されたISO22745とISO8000を組み込んでSSC概念を創起した。

フェーズ3で本格的な実装試験に入ったとされてきたが現在はフェーズ4において具体的なデータ構築作業によるが実用化が達成されたと伝えられている。この分野におけるわが国の研究は大きく立ち遅れている。特にわが国はNCSに関与するISO22745(eOTD)の研究が立ち遅れており具体的なアプリケーションであるSSCを論じるまでの場が無い。この新しい世界標準のデータ品質管理基準に則った装備品DB構築の研究に着手することも要求されている。ちなみにNATO加盟国はもとより非加盟国の韓国やオーストラリアでは数年前からSSCの研究と導入に余念が無い。

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