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2014年03月02日

【PBLとNCSシステム】

ーNATO/ティアツー諸国の挑戦ー

北大西洋条約機構(NATO)では次世代NCSにPBL政策を織り込んだ実装試験( フェーズIII )を終了し実用段階に入った。またフェーズIVとして相互運用性向上のための国際規格化に取り組んでいる。そこで今回は米英を中心としたNATOと豪韓などそのティアツー(T2)諸国が取り組む新しいPBLとNCSシステムの現状について紹介する。(DCメール 2014年3月1日 No.360)


■PBLとNCSシステム


NATOからの情報によると現代の防衛ロジスティクスの実施はパフォーマンスベースド・ロジスティクス(PBL)や契約者ロジスティクス・サポート(CLS)と言った契約形態を通じて整備されるすべての総合的なソリューションズが必要であるとされている 。


このNATOによるPBLソリューションズ は装備品やその維持・管理など保守サービスと言った両面からのサービス供給を含んでいる。しかしサポートされていない品目コードのまま契約者が不在となる場合などその潜在的な懸念が存在する。


そしてPBL契約数が増加することに伴い各国の国家類別局(NCB)は同等装備品に別のNATOストック・ナンバーを割り当てることが迫られる場合がある。そこで各国のNCB は首尾よく有効的にメーカとの緊密な協力を通じることでこれらの問題を解決しPBLやCLSと言った契約の枠組みの中で実行されているようだ。PBLやCLSの成功のためにはこういった民間業界との提携業務が供給に関するアーキテクチャにとって大変重要なのである。


つまりPBLは装備品の初期コスト( 調達コスト )とランニング・コスト( 運用・保管・廃棄コスト )を含めた総合コスト(TCO)の概念を導入し、装備品の取得を従来のような物品や役務に求めるのではなく、性能や能力を維持する保証を求める概念として登場したものである。言い換えれば契約金額は個々の装備品の対価として支払われるのではなくエンド・アイテムの性能や能力を維持するための保証( ギャランティ )として請けるというものである。


そこでNATO諸国および韓国や豪州などのティアツー(T2)諸国では次世代NCSにPBL政策を取り込んだものとして永年にわたり実装試験をおこなってきている。PBLは次世代NCSに負うところが多いということである。そこにNATOやT2諸国のPBL活動が成り立つ所以がある。


従来型ロジスティクス・システムの問題点はなんといっても新しい要求に対する信頼性の欠如とリード・タイムの長さ、そして膨張するコストが挙げられる。例えば現在NATO各国にあるNCB(国家類別局がメーカからデータを吸い上げた際に必ず起こるデータの欠落や誤記による不完全データの提供によりシステム自体の信頼性が損なわれている現実がある。


そこで永年米国の電子商取引の推進母体であるECCMAと手を組んでISO8000とISO22745をISOに提案しデータ特性の授受における電子化や自動化を促進させ、より早く、よりよく、そして安いデータ構築を成し遂げることを目論んできた。


そして2010年に発表されたSmart Step Codification (SSC)Phase IIIでは、当初フェーズ1でSTEPファイルを利用して装備品データベースの再構築を計画したが、フェーズ2ではISO22745とISO8000を組み込んだSmart Step Codificationという概念を想起した。そしてフェーズ3としていよいよ本格的な次世代NCSの実装試験段階に入ったのである。


現在NATOは品目識別における装備品データを必要とする新たな国際規格の互換性に関する作業を進めておりSSCプロジェクトはフェーズ4に入ったとしている。識別をサポートするソース・データ交換を自動化するISO 8000の採択によりデータ品質管理は大幅に改善された。


英国では初めてISO 8000とISO 22745に準拠したプラットフォームにおいて、例えばテリヤ―型戦車のすべての装備品を完全に識別化することができ全体の72.5%の技術データの構築が高信頼性に基づき達成された。


NCSのトランスフォーメーション運営グループ(TSG)は新しい手法とプロセスを確立しNCSの効率と品質の向上を目的としたシステムとして各国共通の相互運用性の強化を推進している。これが次世代NCSと呼ばれる所以である。


今後NCSはTSGに集中されている5つの主要な分野(①供給源の識別化、②米国FLISとの変換システム、③識別化サービスの導入、④NCSのXML導入および⑤NCSアプリケーション•データの導入である。TSGはNCBとITサポート、NAMSAとの間の相互作用のためのフォーラムでもある。


NMCRLを運用・管理するNAMSAでは常に新しい機能を備えたNMCRLを強化している.。NMCRLのコード化を分かりやすく説明するために、ユーザーフレンドリーなユーザーのためのモードと経験豊富な専門家のための高度なモードを用意しさらにNSNの詳細画面を向上させることと新たにパッケージング・データを追加することを準備している。


ところで韓国は既にT2国として益々自国装備品を世界市場に輸出している。世界の装備品市場において韓国の実績は目を見張るものがある。わが国のメーカによれば、最近、韓国製NSN部品の輸入が急増しているという。韓国によればNCSにより防衛装備品と民間品をリンクさせ、またNCSについて中国を教育しており、ロシアの構築を支援してきた。


すでに韓国語によるNMCRL(NCSデータベース)の検索が可能となっておりこれらは韓国取得改革によって設立したDAPAを中心に韓国NCBがデータ変換を強化し始めていることによるものであるといわれている。韓国は既にNCSを通じてNATO諸国との装備品情報の一元化により、米国を含むNATO諸国からはロジスティクス分野において最も信頼される国へと変身しているのである。 


ところでNCSとはNATO Codification System(Codificationはカタロギングの意)のことでいわゆるNATO版FLISである。NATOでは迅速かつ最新な装備品情報を運用し加盟国は識別、類別および補給のためにあらゆる装備品に13桁のNSN番号を付けて一元化し共通したシステムを運用しているのだ。


ロジスティクス情報や装備品情報というと軍事色のイメージがあるが実際は材料や部品などが圧倒的に多く、用意された分類コードはプロペラ・ブレードから宇宙船、および石鹸入れから洗濯機までありとあらゆる需品や日用品などが1700万種類も整っている。データ諸源は保管、供給源、代替品、包装・梱包、特性値、危険性物質および廃棄などの情報が含まれている。


さてNCS加盟にはNATO諸国以外に2つの段階がある。わが国はティアワン(T1)に加盟を果たしたがこれはまさに入門(エントリー)段階でNCSに登録された各国データの閲覧のみが許されるものである。


米英を主体としたNATO主要国や豪韓を中心としたT2諸国ではすでに生産から廃棄までを含む装備品ビジネスとしてお互いに多国間で共有・管理されたものとなりつつある。そこでは増加するPBL契約に伴い各国のNCBはメーカとの緊密な協力を通じることでこれらの問題を解決しPBL契約の枠組みの中で巧みに実行されている。PBLの成功のためにはこういった民間業界との提携業務が供給アーキテクチャにとって大変重要であることが理解されている。


わが国はこういった国内外の動静を踏まえて可及的速やかに現在のT1からT2に移行すべきであることは申すまでも無い。


そしてそこには装備品の輸出戦略のみならず今後増加することが見込まれるPBL契約形態を通じて整備されるすべてのロジスティクス要素の総合的なソリューションズが必要されていることを自認しつつ民間業界との連携・提携を強化していくことが装備品供給のアーキテクチャにとって何より重要であることをこれらNATO諸国の実践を通じて理解することが重要ではないかと思う。


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