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2012年10月01日

【F-35サプライチェーンとNCS】

ーPBL契約とNSNの共通化政策ー
F-35(JSF)のPBLによる運用持続(O/S)契約は基本的に米国ロッキード・マーチン社(LM)による民間型グローバル・サプライチェーンが全面的に採用される。PBL契約では要求元は成果(パフォーマンス)を取得するのであり装備品等(スペアパーツ)を取得するものではない。しかしJSFは民間機ではないため全ての装備品にはNSN登録が義務付けられる。そこで米国防総省(DOD)が中心となりFCS(連邦政府カタログシステム)はもちろんNCS(NATOカタログシステム)とALISとの装備品識別の共通化を図る調整が行われた。今回はわが国でもいずれ論議されるJSFサプライチェーンにおけるスペア・パーツ問題についてのDOD政策を解説をする。(DCメール 2012年10月1日 No.326)


■ALISとNCS(FCS)におけるNSN共通化政策

米国ではつい最近までこの新しいPBL契約形態がもたらす装備品の取得方法や手順ならびにそのルールの変更に伴うスペアパーツ識別の官民共通化問題に対して対処しきれていなかったようである。PBL契約形態は要求元が望む成果(パフォーマンス)を契約業者が責任を以って果たすことが求められるが、なかでもJSFは当初から完全なる契約業者ベースのプロジェクトゆえにその運用持続(O/S)におけるスペアパーツの取得は全てLM社のサプライチェーンに委ねることになる。


すなわち契約業者が契約で求められる成果を達成することが重要であるPBL契約においてはスペアパーツは契約業者の判断で取得する。そしてこれらのパーツは契約業者によるサプライチェーンにより提供されるわけであるがこれをDODは他の共通装備品と一元化するためにどのようにしていくかが全くの新しい挑戦であった。


その結果出した結論はJSFが採用するNSNは複数のSOS(供給源)情報であり、あくまでもNSNは従来システムと共有するという政策であった。この意味はどういうことかというと、NSN(装備品識別の最小単位)で識別された各種要素データのうち、SOS(供給源)を従来とJSFの複数設置をすること。その結果JSF装備品とその他の装備品は分け隔てなくひとつのNSNとして識別することと言う意味である。


マテリエル・マネージメント(資材管理)では在庫を取得し管理しエンジニアリングサポートを提供することの責任がある。そしてそのライフサイクルを通じて装備品の管理やロジスティクス・データを扱う。PBL概念は兵器システムの取得と持続性というものを合併させてサポートする。


そのためにPBL契約では政府(要求元)と契約業者(請負元)の役割を新調(テイラー)しなければならない。契約業者はそのサプライチェーンの資材管理サポートプログラムをビジネスケース分析から最高の値に基づいて決定し、さまざまなレベルを提供する。その結果政府の担当者はもはや品目の取得に影響を及ぼす責任がなくなったのである。


一方契約業者は取得権限を持つことができ、いつ、どのように、誰から、彼らのPBL目標を達成するために資材や装備品を購入決定することができるのである。そのうえさらに契約業者はその要求仕様を満たすパーツを決定し、試験し、検査及び検収基準を検証することになるのである。


しかし一方の政府は当初固有のNSNは唯一の選択肢であることを信じ、複数SOSのオプションは実行可能なオプションではないことを強く表明したのである。即ちJSFの場合LM社はそれらのパーツに形態制御意思決定を行っており、政府も彼らのもので構成制御意思決定を行っておりこれらの決定が調整されたものではなかった。そしてそれが原因となりNSNデータのセグメントC(代替品情報欄:下記を参照)におけるスペアパーツ情報元の混在という事態を嫌ったのである。


注:NSNを構成する装備品データは多岐に渡る。現在各国で登録されるNSNは当然ながら共通したデータ構成を保持しておりその主なデータ・セグメントは次のとおりとなっている。

セグメントA    装備品識別データ
セグメントB    管理機関データ
セグメントC    代替品、スペック品等データ
セグメントE    標準化データ
セグメントG    輸送データ
セグメントH    価格、保管等管理データ
セグメントK    廃棄データ
セグメントM    技術特性データ
セグメントW    包装データ


また政府ではたとえ技術的に可能であってもコスト要因が法外なものとなり一方データが混在化することで運用における危険性を引き起こす原因となりかねないとした。政府はNSNの必要性を議論しどのように相互運用性、資産の可視化、その他NATO諸国のために重要であるかを論議し、スケジュールB(インポート/エクスポート)の割り当てや、ENAC、DEMILなどの問題点が挙げられた。これらは米国内に留まらず国外対象となる輸出品目規制などにも関連するからである。


この問題においてDODの担当部署であるDLISではJSFチームのプラット•アンド•ホイットニー社やGE社とも連絡を取りできるだけ早くこのプロセスを開始するためにDOD内にあるJSFリエゾン部門であるJSFプログラムオフィスを介して解決することを提言したのである。


その結果今日では政府はJSFとの緊密な協力関係を継続することが可能となりJSFプログラムオフィスを通じてDLIS、DLMSOやDUSDといった各関連部署との継続的なミーティングやインターフェイスに基づいて必要な変更や措置を議論するシステムを構築することが出来た。このようにPBL契約は契約業者に一切の責任を負わせることにより従来からの一貫した取得システムやロジスティクス・システムが損なわれる危険性をはらんでいる。しかしそうかといって政府のポリシーを強要することはPBL契約の利点である即応性の欠如やコストダウンの鈍化を招くことになることだけは絶対に避けなければ成らない。本件はそのことを鮮明にした事例といえよう。装備品の共通化や一元化システムの構築は非常に有益でしかしなお良い結果を確保するためには今後とも継続的で良好な関係を維持していくことが引き続き求められているのである。


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