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2012年04月30日

【米国から見た日本の新・安全保障政策】

-アジアのガラパゴスからの脱却ー
最近「米国の盾の後ろから現れる日本の動的抑止戦略と自衛隊」という米国防総省(DOD)高官による寄稿文を読んだ。わが国が2010年に発表した新・国家安全保障戦略である「動的抑止力」について様々な角度から語っている。動的抑止はもともと米国の戦略思想であるが、米国はわが国がこの新戦略をもってアジアのガラパゴスから脱却して、この5年間で自律体質への転換を図ることが重要であるとしている。折りしもわが国の総理大臣が渡米中。この動的抑止は米大統領との話し合いのなかでも重要なテーマとなっている。 ( DCメール 2012年5月1日 No.316)


■米国の盾の後ろから現れる日本の動的抑止戦略と自衛隊

日本にとって次の50年あるいは100年以上において米国の安全
保障に依存することが良い考えであると信じてはいない、とわが国の鳩山元首相が述べたことがこの寄稿文の巻頭に引用されているのが印象的である。そして米国が将にこのことを願っていることも確かなのである。ここに紹介する内容はわが国の元首相が考えていたこととは異なる発想ではあるが、結果としてわが国の米国依存性を否定する内容であることに違いはない。


この米国政府の高官による寄稿文「Emerging from Behind the U.S. Shield Japan's Strategy of Dynamic Deterrence and Defense Forces」は、わが国が2010年に掲げた新しい安全保障における動的抑止(Dynamic Deterrence)戦略について、その背景や将来あるべき姿を俯瞰しており、まさに米国依存からの脱却と自律性への転換を図ることが重要課題であると結んでいる。そこで、ここではその内容からいくつかを引用することが、わが国が頼りとする米国がどう思っているのかを知ることは何よりも大切である。なお、この寄稿文については以下から入手することができる。


http://www.ndu.edu/press/japans-strategy-of-dynamic-deterrence.html


日本の動的抑止戦略
米国と日本との相互協力として米日安全保障条約がこの2010年に50年の節目を迎えた。東アジアの地政学的、軍事環境において基本的な教義の多くはすでに深刻な課題を投げかけている。日本の指導者たちは世界の金融危機の深刻さや停滞、また国内の政治的変化およびその間における中国の台頭の影で数十年にわたり国家機関の変革を続けてきた。


これらの変革の中で最も遠大なものとして2010年12月に発表されたのが新国家安全保障戦略である。それはまさに動的抑止をするための防衛力の確立、すなわち多機能で、柔軟性が高く、即応性のある軍事的に複雑で不測の事態に対応する機能を保持することにより、安全な抑止をする防衛力をもってアジア太平洋地域内で貢献することで安定を図るというものである。そしてこの中には日本国の政治以外にも激変する地震によって引き起こされる危機や津波、原子力災害などについてのコミットメントが強調されている。


アジア太平洋地域内での競争と国際システム

複雑で不確実なアジアでは3つの安全保障問題が中心であり、日本の背後にあるこれらの力を理解する必要がある。それは戦略的環境の見直しと新たな戦略へのシフト、例えば中国の台頭と地域への野望が挙げられる。日本は2つの超大国の間で自分自身を模索している。イラクやアフガニスタン戦争後におけるアジア太平洋地域での対同盟国戦略を新たにする米国と、経済で競合することで国益を定義して南シナ海に拡大し地域とグローバルなプレゼンスおよび日米同盟を弱める試みで対抗する中国である。


動的抑止はチャールズT.アレン、ゲイリー•L. ガートナー、およびロバート•P. 八ファによって定義された戦略思想で、従来の軍事的抑止力としての機能を組み合わせた信頼性からの脅威を中和あるいは捕獲する報復および結合した防衛能力により武力行使を明示的に受け入れ、効果的に抑止力の脅威を伝えるためにある。


曖昧な言葉にもかかわらず、動的抑止と以前のポリシーである静的抑止の姿勢の間には重要な違いがある。 以前の政策( 2004年版)は抑止効果の面で自衛隊の役割を定義したが、新しい政策は外部立案者により国家安全保障の動的応答能力の開発と利用の面で自衛隊の役割を再定義して、日本の動的抑止戦略がアジアの戦略環境を考慮し、国益を守るために武力行使の明らかな抱合を含むという観点立っている。

この日本の基本的な安全保障政策の目的は、(1)外部からの脅威を防止・拒否する(2)国際的な安全保障環境を改善し、新興国からの脅威を防ぐ、そして(3)安全な世界の平和と人間の安全保障を確保するためのアプローチが保持され、日本は戦略的な防衛政策を支持し続ける。しかしそこに含まれる戦略的環境の分析は、日本の現在および将来の安全保障環境がさらなる詳細な分析、北朝鮮の核やミサイルの脅威、中国の軍事力近代化、不十分な透明性、不安定な行動そして米国の影響力に関与する中国やインドなどの新興国の台頭に基づくパワーシフトを表現するいわゆる "グレーゾーン"の増加に
よって特徴づけされることを認識している。

わが国の自衛隊がここ5年以内に非常に有能かつ応答力に進化するにつれ、この新しい動的抑止戦略は日本がアジア内で孤立し、無意味なガラパゴス"になることを避けるのに役立つものとなる。それがこの戦略の中で、日本の光り輝く剣の再来であると考えるアジアの隣国達への影響となるだろうか。そしてこの日本の新しい政策は米国のための機会を再び進呈するのだろうか?

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