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2012年02月28日

【NCSニュース・レター】

-NATO装備品識別システムの最新動向-
わが国が昨年4月に加盟したNATO装備品識別システム(NCS)の最新情報がこのほどNATOから届いた。新たにロシアがT2加盟を果たし、また加盟国は64カ国に急増した。またNCSのSSC(次世代化)プロジェクトが着々と進行し、英国では実用化(フェーズ4)が証明された。わが国にとってこれらロジスティクス先進諸国にこれ以上の遅れをとることは許されない。是が非でも国産装備品のNCSへの登録可能なT2(ティア・ツー)取得が急務であり、またT2取得はわが国のPBL推進においても避けては通れない道であることを読者は理解してほしい。そこで今回は最新のNCSニュース・レターからその内容を紹介しよう。 (DCメール 2012年3月1日 No.312)



スマート防衛のためのNCS(装備品識別システム)

AC/135のミッションとビジョン
AC/135はNATO装備品識別システムを運営するのための委員会組織である。AC/135のビジョンはワン・システム、ワン・グローバル・スタンダード、そしてワン•ワールドである。AC/135の記念すべき第100回総会は2011年11月8日ブリュッセルのNATO本部で開催され、40以上の国が参加した。

NATO装備品識別システム(NCS)は、もともと6カ国のグループで始まったが、今や世界最大の装備品データベースとなり、すでに世界の64カ国が参加している。NCSは現在新たな課題を持ってすべての装備品のデータ品質基準、データ交換技術、マスターデータ管理などの資産継承を行っている。

今回の会議ではロシアがT2(ティアツー)加盟を正式に認証され、ロシアは今や完全な装備品識別能力を身に付けた。ちなみにここでいうT1とT2については【脚注1】を参照のこと。

AC/135の主な目的はNCSコミュニティを広げるために能力を強化し、国際関係やパートナーシップの発展に関するNATOの目標に貢献することである。 2011年には、世界のすべての国の3分の1にあたる64カ国が加盟し、新たにブルネイ、日本、ヨルダンがスポンサー契約を締結した。

また現在パキスタンとのスポンサー契約も承認されており、調印するばかりとなっている。またインドネシア、モンテネグロおよび他のいくつかの国のNCB(各国の装備品登録機関)は今年の初めにはT2のメンバーシップを申請する予定である。


スマート防衛を創設するスマートNCS
現在AC/135は品目識別における装備品データを必要とする新たな国際規格の互換性に関する作業を進めている。SSCプロジェクトは、フェーズ4に入った。識別をサポートするソース・データ交換を自動化するISO 8000の採択によりデータ品質管理は大幅に改善された。

英国では初めてISO 8000とISO 22745に準拠したプラットフォームにおいて、例えばテリヤ―型戦車のすべての装備品を完全に識別化することができ、全体の72.5%の技術データの構築が高信頼性に基づき達成された。なおSSCについては【脚注2】を参照のこと。

ニュージーランド主導によるNCSのための完全な品質システムは、一連の基準と包括的な定義のための規則と手続き上の作業が合意され、開発は次の段階に移動した。この作業は、新しい視点をもたらすシステムのパフォーマンスに焦点を当てて、NCS内のデータ交換の品質について、誤ったレコードからのターンアラウンド時間と全体的な品質を満たすために貢献している。

これらの基準は、様々な視覚的な手がかりを用いて表すことができ、いくつかのパフォーマンス指標がクリティカルレベルに達するとしている。

昨年、世界遺産の都市ベルギーのブルージュで開催された第11回NCS世界フォーラムではNCSの挑戦と機会というテーマで全世界で約50カ国から約170名の防衛と産業界代表者が出席して行われた。今後の課題として益々減少するリソースと共有するタスクと識別化の利点を促進し、防衛産業界や他の組織団体と係合することが協議された。

この2日間のイベントを通し産業界のパートナーとの総会やワークショップでの共通の関心事や目標についての合意があった。これらフォーラムの内容はAC/135ウェブサイトでアクセス可能である。


相互運用性の強化
NCSのトランスフォーメーション運営グループ(TSG)は新しい手法とプロセスを更新し、NCSの効率と品質の向上を目的としたシステムとして各国共通の相互運用性の強化を推進している。

今後NCSはTSGに集中されている5つの主要な分野(①サプライヤソースの識別化、②米国FLISとの変換システム、③識別化サービスの導入、④NCSのXML導入、および⑤NCSアプリケーション•データ)で24カ月のプロジェクト・ロードマップが示された。TSGはNCBとITサポート、NAMSAとの間の相互作用のためのフォーラムである。

最後にNMCRLを運用・管理するNAMSAでは、常に新しい機能を備えたNMCRLを強化している.。NMCRLのコード化を分かりやすく説明するために、ユーザーフレンドリーな非専門家ユーザーのためのモードと経験豊富な専門家のための高度なモードを用意し、さらにNSNの詳細画面を向上させることと新たにパッケージング・データを追加することを準備している。

【脚注1】
NCS加盟には2つの段階がある。わが国は昨年4月にようやくT1( ティアワンという )加盟を果たしたのであるが これはまさに入門( エントリー )段階でNCSデータベースに登録された各国データの閲覧が許されるものである。

NATO主要国やT2諸国では生産から廃棄までを含む装備品ビジネスはお互いに多国間で共有・管理され自国の装備品をNCSに登録して各国で運用する権利が与えられる。そこでわが国の秀逸な資材や部品、需品などの装備品の世界市場でのビジネス機会を増加させるためにも早期にT2加盟の準備を始める必要がある。

現在わが国の自衛隊が保有する170万品目ともいわれるわが国装備品データのNSN化や国際共通化は真の同盟の証ともいうべきT2( ティアツーという )段階をクリアーしなければならない。近年、日米、日豪、日韓によるACSA協定の調印が国民の知るところとなったが、この米韓豪はともにロジスティクス先進国で既に次世代NCS導入に向けての研究に余念がない。

特にT2加盟に対してはわが国装備品産業界を本格的に関与させるために、経産省の協力は必須である。とにかくT2加盟に対する意欲と研究を立ち上げ、産官学を通じてNCSを論じる場を創設することが急務となる。

【脚注2】
このことはNCSの次世代化を推進するAC/135が2009年に発表したSSC3( Smart Step Codification Phase III )につぐ最新動向であるといえる。

NATOは多種多様な装備品データを統一し、共通化することが余儀なくされているが、中でも処理スピードやコスト削減を可能にするSSC(次世代自動化システム)はフェーズ1( 第一段階 )でSTEPファイルを利用して再構築を図り、フェーズ2では新たに国際規格化されたISO22745とISO8000を組み込んでSSC概念を創起した。

そしてフェーズ3で本格的な実装試験に入ったとされてきた。そして今回フェーズ4において具体的なデータ構築作業によるが実用化が達成されたと伝えられている。この分野におけるわが国の研究は残念ながら大きく遅れていると認めざるを得ない。

防衛省はもとより経産省においてさえもNCSに関与するISO22745の研究が立ち遅れておりSSC (次世代ロジスティクス)を論じる場が無い。T1、T2を問わずしてこの新しい世界標準のデータ品質管理基準に則った装備品データベース構築の研究に着手しなければ近い将来に必ずや国産部品の枯渇という不測の事態を招く結果となることは火を見るより明らかである。


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