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2011年11月30日

【NSN】

ー世界共通の装備品識別システムー
防衛省はこの4月に欧州装備品の類別業務を効率化するためにNATOカタログ制度(NCS)に加盟した。欧州製航空機などの装備品情報の取得のためにNATO装備品DBの使用が必須であり、T1(ティアワン)加盟によりそれが可能となった。しかしわが国自衛隊が保有する170万品目ともいわれる国産装備品を代替品として運用することはできない。国産装備品をこれら輸入品の代替品として、あるいは輸出品として世界の市場で流通させるためにはNSNという世界共通の識別システムの導入と登録を行うことが義務付けされており、そのためには更にT2( ティアツー )という厳密に選定された国レベルでの加盟が必須となるのである。しかしFX選定やPBLの導入などこれからのわが国にNSN装備品は欠かせない。わが国の各行政機関は早期にT2加盟を果たすことがわが国の安定した装備品市場の育成と発展に、そしてわが国の防衛体制に大きく貢献することを是非知ってほしい。(DCメール 2011年12月1日 No.306)


■国産装備品のNSN化に向けて
米国防総省(DOD)の文書に The NSN is the International language of logisticsという文言がある。いまやNSN(連邦またはNATO物品番号の意味)はロジスティックス情報の国際共通語としてNATO加盟国はもちろん、わが国においても政府調達(FMS)や民間調達(DCS)などの装備品輸入の世界では知らない者はいない。ひとことで言えばNSNは装備品に付けられた番号体系のこと。しかし単なる番号ではない。NSNにはその装備品に関するありとあらゆる膨大なデータや情報が組み込まれているからである。


13桁からなるNSNには数多くのデータ・エレメントが組み込まれている。中でも利用頻度の高いものとして代替品パーツ番号や技術特性、企業コード、参考価格などがある。これらNSN装備品は米国のFLISやNATOのNCSデータベースに組み込まれている。これらデータベースの目的は即応性に基づく装備品の欠落時間を最大限に短縮できることにあるが、本当の価値とはNSNに取り込まれた各種データにより、在庫の確認、保存期間の識別、交換・代用可能な供給物品の識別、利用可能な代替品の最大限使用、参考価格情報の提供により防衛予算の最適化、武器システムのライフ・サイクルを拡張し、設計、製造および修理プロセスのためのサイクル・タイムの改善、機密情報を保護し、多数の調達業者の登録、重複物品の識別が最適に行なえることにある。

 
そしてNSNの最も重要で最も遠大なメリットは、装備品の取得要求から保守、そして廃棄に至るまでのライフ・サイクル管理を提供するということにある。 NSNを集積したFLISやNCSはその装備品検索システムであるWebFLISやNMCRLを通じて世界的に使用され、NSNはもはや国際語となっている。


■ところで、なぜNSNの概念が作られたのか。
第二次世界大戦では、個々の機関によって使用された同一物品に異なる名称が付けられていた。当時これらの機関では同一物品を見極めることは難しく、同一名称による物品を共有することはほとんどの場合不可能であった。またこのことは命名が異なるために、同一物品の役割が少なくなり、また重複する状況を生む結果ともなりムダが生じ、戦費も益々増加した。 このように各々の機関が異なる名称で装備品を呼んでいたら、必要な際に別の機関から同じ物品を識別して移動させることは不可能である。そこで創始した米国では類似在庫品の増加を抑制するためには、詳しい装備品特性を比較することが不可欠であることがわかった。 これがNSN概念の始まりである。

 
このNSNは米国やNATOを中心に現在では韓国や豪州、ロシアなど世界の63カ国で採用されている装備品識別の最小単位である。NSNは必ず13桁の番号が付与され、物品名、識別データ、管理コード、参考価格、性能データなど多数のロジスティクス情報が組み込まれている。


NSNの数は米国だけで700万件を越すと言われ、NATOやその他の関係国を含めると2000万件にも上る膨大な装備品の数である。そしてこのNSNの最大の特徴はなんと言ってもNATO諸国やT2加盟国のメーカにより生産される一般装備品、例えば航空機部品から生活必需品に至るまでの互換品や代替品情報が掲載されていることにある。その結果、これらメーカ品の数はNSNの数倍となり、約数千万件にも上るといわれている。

 
●NSNの基本的な考え方
NSNの基本は単一装備品の識別にある。そのためにすべてのNSNは13桁の数字をもつ独特な番号制度からなっている。これにより加盟諸国における共通社会では同一装備品はすべて統一され、同じNSNの元で集約されている。そこでユーザはNSNを通じて世界の代替品検索を行えるのである。NSNの前4ケタはFSCコード、後ろ9ケタはNIIN( ニンと呼ぶ )と呼ばれ、またNIINの最初の2桁は国別コードになっている。例えば米国で登録されたNSNであれば00あるいは01が与えられる。


例えば米国製の陸上車両用のガスケットの代替品がドイツのダイムラー社製やスエーデンのBAE社製が掲載されている。もちろん材質や形状、寸法や価格はすべて統一されている。これにより例えば米国のガスケットが枯渇したり、納期に間に合わない場合、ダイムラー社やBAE社製が取得されるわけである。このようにロジスティクスのグローバル化は加盟諸国が装備品を共有しスピード性、廉価性を追求することを可能としたのである。

  
■ここで改めて、NSNの番号構造を知ってもらいたい。
だれでもこの番号システム、042-378-7198については知っているはずである。これは電話番号システムである。電話番号の3つの個別部分は最初が市外局番であり、第2の部分は交換局番、また3番目の部分は個有の番号である。 NSNはこの電話番号とよく似ている。NSNは13桁のコードである。6240-00-357-7976 。NSNの最初の4つの数字は補給分類(FSC)として知られている。例えば、6240は電灯用のFSCである。FSCは例えば蛍光灯や白熱灯、水銀灯およびナトリウム灯のように同一物品をグループ化するために使用されている。次の2つの数字は国別コードである。装備品にNSNの割り当てを要求した国を示しているのである。残りの7桁の数字はNSNに連続して割り当てられる固有のコードである。

 
■NSNに埋め込まれたデータ
NSNには装備品を定義するための広範囲なロジスティクス・データが埋め込まれている。これらのデータには、品名、メーカー部品番号、代替品データ、参考価格情報、物性特性、梱包データ、取扱データ、保管データ、在庫期間、部品番号の変更、その他装備品データや特性に影響する最新情報を登録するために常時データ更新されている。

 
■NSNの本当の価値とは。
FLISやNCSなどの最大の目的は、調達が迅速に行なわれることで装備品の欠落時間を短縮することにあるが、本当の価値とはNSNに取り込まれた各種データにより、在庫の確認、保存期間の識別、交換・代用可能な供給物品の識別、利用可能な代用品の最大限使用、参考価格情報の提供により防衛予算の最適化、武器システムのライフ・サイクルを拡張し、設計、製造および修理プロセスのためのサイクル・タイムの改善、 機密情報を保護し、多数の調達業者の登録、重複物品の識別援助などが最適に行なえることである。

 
■今後わが国がとるべき行動。  
わが国は今般T1加盟を果たした。これは海外輸入装備品データベースの使用が目的であった。しかしT2加盟を果たしていないため、わが国装備品の登録や代替品としての使用はできない。そこで、仮にわが国がT2加盟を果たした場合、多数の優秀な国産装備品がNSNを取得することが見込まれ世界の装備品市場で活躍するばかりでなく、従来から輸入品に頼ってきたわが国装備品取得を国産装備品に代替することも可能となる。これは今後とも輸入品が増加する傾向が見込まれるわが国装備品市場の是正とわが国装備品産業の育成、ならびに今後とも安定した供給体制への実現を可能にする産業政策の一環として早期に実現するべき案件である。


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