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2010年12月13日

【米国におけるPBL政策の現状】

ー DMSMS対策と従来型ロジスティクス・システムの問題点ー
防衛装備品における寿命と枯渇の問題は米国政府においても最重要課題となっている。装備システムの寿命(ライフタイム)が尽きる前に使用部品が枯渇するようなことは断固としてあってはならないからである。そこでDODはDMSMSと呼ばれるメーカや部品の枯渇対策を早期に行うことがPBL政策をより安全に推進させることができるとしている。わが国でも取得改革の一環としてPBL導入の気運が高まっているが、装備品が補給不全に陥らないためにも米国のDMSMS研究を推し進めることが望まれる。   


■DMSMSについて
米軍の車両部隊が不運にもその交換部品が旧式部品であったために急遽調査を行った。その結果この部品は旧式技術のためにどのメーカも製造していないことがわかった。民間品は低需要や旧技術品になると生産中止や廃止となるが、防衛装備品はより長く使うことが求められている。そこでシステムの寿命がつきる前に部品が枯渇することが重大な脅威となる。DODでは防衛装備品の生産低減と部品の枯渇問題をPBLのような次世代ロジスティクス政策によって緩和させようとする動きが急速に広まってきた。


DMSMSとはDiminishing Manufacturers Source & Material Shortageのことで装備品の製造ソースの逓減と部品の枯渇を意味する。 そこでDMSMSは兵器システムや装置等の寿命を危険にさらす可能性があり、このDMSMSが顕在化するとシステムサポートの脅威となるとしている。DODが有効とするDMSMS対策は以下のとおりである。
①装備システムの部品や材料が利用可能であることを確実にする
②総所有コスト(TOC)を削減または制限する
③総ライフ・サイクル・システム(TLCSM)を最小にする
④DMSMSの動作を排除するかまたは最小にする
⑤設計代替手段を定める
⑥DMSMSにおけるリスクの緩和に備える
⑦DMSMS監視対策を強化する
なおDODはDMSMSの緩和対策としてDoD Directive5000.01でPBLを明記してDMSMS緩和策として次のように備えている。


■DMSMS緩和のためのPBL政策
PBL(Performance Base Logistics)の考え方は製品の寿命がある限り枯渇に対処する効果的な方法を提供することができると考えられている。 従来からの遺産システムを近代化するような伝統的なアプローチと異なりPBLは全体論的に兵器システム、アセンブリ、部品、およびコンポーネントのサポートを管理するとしており、システムの製品サポートに都合のよい維持戦略となっている。 それはシステム準備を最適化するように設計され統合化した性能パッケージとしてのサポート調達をおこなうこととしているためである。言い換えればPBLは現在の装備システムにある枯渇部品を緩和させ連続した強力なツールを供給するからである。プロジェクト・マネージャ(PM)は有機的なサポートソースと共に民間企業との長期契約や協定覚書を通して部品や製品を調達するよりむしろ性能を調達するという点に立っている。契約内容にかかわらず、ポイントが有効なシステムサポートを確実におこなうことの履行保証を契約業者に求めているところがPBLの最大の特徴となっているからである。


このPBL戦略を生かすためにDODは民間企業に先を見越すDMSMS対策を維持させることを要求している。 PBL契約は、理想的には5―15年の間の長期であり、寿命を通して製品サポートの多くの局面を管理することが求められる。民間企業は先を見越してDMSMSを管理し枯渇による誘因を含み必要な性能を達成するのである。 その結果PBL契約はDODのリスクを低下させ、ライフ・タイム調達やソース請負者との長期契約や再設計のための投資利益率などDMSMSを緩和する努力が求められている。


■DMSMSにリンクしたツール一覧
DODはDMSMS対策に以下のような各種ツールを用意している。これらの公式ツールを生かすことで的確な部品選択や枯渇部品対策ならびに装備システムのライフ・タイム維持戦略を可能なものにしている。これら各種ツールの管理部門では、最新技術を屈指した情報提供を試みており、それらが次世代ロジスティクス情報システムの構築につながっている。
① ASSISTーMILスペック&スタンダード
② CDMD-OAーシステム形態管理
③ D200CーLRU & SRU 故障データ
④ EMALLー補給・取得情報
⑤ GIDEPー廃止情報
⑥ JEDMICSー工学図面情報
⑦ MEDALSー工学図面情報
⑧ Microcircuit Queryーメーカ部品番号
⑨ PC LinkーDBアクセス
⑩ REMISー信頼瀬データ
⑪ SDWー廃止データ
⑫ Sunset Supply BaseーCOTS部品データ
⑬ WebFLISー連邦装備品DB
⑭ WebLinkーウェブ版PCLink


■PBL遂行の問題点
ところでFLISを管理するDLISによればFLISは現在大きな転換期を迎えている。それは現在のFLISではデータ構造が古く、次世代ロジスティクス構想の要と言われるPBLの遂行ができないためである。PBLは前述の通りTCOに基づき装備品の初期コスト(調達コスト)とランニング・コスト(運用・保管・廃棄コスト)を含めた総合コスト(TCO)の概念を導入し、装備品の取得を従来のような物品や役務に求めるのではなく、性能や能力を維持する保証を求める概念として登場したもので、つまり契約金額は個々の装備品の対価として支払われるのではなく、エンド・アイテムの性能や能力を維持するための保証(ギャランティ)として請けるというものである。そこでDODやNATOでは次世代FLISやNCSをPBL政策を取り込んだものとして現在、実装試験(フェーズIII)をおこなっている。


従来型ロジスティクス・システムの問題点はなんといっても新しい要求に対する信頼性の欠如とリード・タイムの長さ、そして膨張するコストが挙げられている。例えば現在、NATO各国にあるNCB(ロジスティクス管理機構)がメーカからデータを吸い上げた際に必ず起こるデータの欠落や誤記による不完全データの提供によりシステム自体の信頼性が損なわれている現実がある。


そこで米国の電子商取引の推進母体であるECCMAと手を組んでISO8000とISO22745をISOに提案し、データ特性の授受における電子化や自動化を促進させ、より早く、よりよく、そして安いデータ構築を成し遂げることを目論んでいる。昨年発表されたSmart Step Codification Phase IIIでは、当初フェーズ1(第一段階)でSTEPファイルを利用して装備品データベースの再構築を計画したが、フェーズ2ではISO22745とISO8000を組み込んだSmart Step Codificationという概念を想起した。そしてこのたびフェーズ3(第3段階)としていよいよ本格的な次世代NCSの実装試験段階に入った。この総合的な実装試験は英国のBAE Combat Systems社とNATO AC/135の間でテリヤー型支援戦車(Terrier Combat Support Vehicle)の装備品データ構築についておこなわれた。 


このように現在米国を中心とするNATO諸国やTier2国であるオーストラリアや韓国では国際標準化されたeOTDを組み込んだ電子データ変換システムの構築を産官学共同で研究している。また別の国々ではECCMAベンダによる実装試験に取り組んでいるのである。


ちなみにこのeOTDはDODの傘下にあるDLISとECCMAの間で誕生したいわゆる異なった工業技術データ・フォーマット同士の交換や転換を可能にするアーキテクトをもち、膨大なデータを維持管理するFLISやNCSの信頼性を高め、スピードアップさせ、総合コストを大幅に削減する米国産官が一体化したプロジェクトであった。また従来からの品質管理の国際標準であるISO9000に準えて、データ品質管理基準として新しくISO8000を誕生させることになったのである。このようにして現在世界のロジスティクス先進諸国ではNATOを中心とした次世代ロジスティックス・システムの構築を急いでおり、2013年までには遅くとも新しいコンポーネント(要素)を組み込んだ次世代システムの稼動を目論んでいる。


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