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2010年09月01日

【米・中・韓・印による4カ国規格ポータル・サイト】

-アメリカの対東アジア輸出戦略が見える-

http://www.standardsportal.org/

まずは上記URLをクリックください。このポータル・サイトはANSI(米国規格協会)が運営する米国、中国、韓国そしてインドの4カ国総合規格情報サイトである。当サイトの目的は米国ユーザ向けに中国、韓国、インドの規格情報の紹介とこれら各国におけるコンフォーミティ・アセスメント(適合性評価)情報の提供である。また中国語や韓国語による米国規格やアセスメントについても紹介しており、これら各国のユーザが米国市場への道を開くための双方向規格情報提供サイトとなっている。(DCメール 2010年9月1日 No.276)


アメリカの対東アジア輸出戦略が見える。
ANSIはご存知の通り、400もある米国規格団体のまとめ役として、また米国の国際標準化政策や米国製品の対外輸出に必須な外国規格の国内普及など情報支援活動も盛んで、その意味において他の規格団体と比較すると政治色が強い。そのANSIが中国、韓国、インドの規格情報を一堂に会して、そのうえ米国規格情報も掲載した総合規格ポータルサイトを運営している。ポータルサイトの出来具合はともかくとして、今回はこの話を紹介する。


ここで注目されることはANSIが対中国への製品やサービスの輸出や経済進出に最大の力を注いでいる点にある。当サイトに添付された報告によると米国ユーザの多くは中国市場に最も関心があり、また多くの適合性に関する問題を抱えている。そこでANSIはこれら米国ユーザに対して中国への進出に必要な中国国家規格(GR)のDBを紹介し、入手やその他の使用方法について細かく説明している。


近年適合性評価(コンフォーミティ・アセスメント)という言葉を耳にするが、ANSIでは規格の適合性評価をおこなう団体として米国企業の中国市場活動を側面から支援している。この規格の適合性評価とはメーカが提供する製品やサ-ビスを単に規格を発行することだけではなく、規格に基づいた製品やサービスであることを評価・立証するための製品認証や人員認証、管理体制、審査登録やそれらの試験や検査等をおこなうこととしている。


ANSIが対中国通商政策にもっとも熱心であるのは中国が輸出入貿易上最も関心が高い国であることに起因しているが、認証、審査、検査などの信頼性評価に対しても問題が多発していることを示唆している。その意味でここに集結された中国、韓国、インドの3カ国の規格情報はANSIが特に製品輸出上最も重要視している外国規格といえよう。


ところでここに日本が連座していない理由はさまざまあろうが、もはや米国にとっては意欲的に開拓する市場ではないのであろう。ちなみに某調査報告によれば米国の意欲を損なうような種類の日本の非関税障壁は未だに存在しているという。なかでも米国企業にとって最も悩ましいのが、国際標準化への整合が未だに不十分であるという点と規格(JISなど)や認証手続きが依然として排他的であるとしている。


このように表面上では日本に対しては昔のように貿易摩擦を理由に市場開放を求めることはしなくなった米国であるが、それはほとんど手を尽くした結果諦めにも似た、あるいは他の対抗措置(非関税障壁など)を施すことで癒しているのではないかと思えるほどである。


米国にとって中国や韓国、インドはまだまだ開拓の余地が十分にあり、今後とも未開発市場が広大に拡がると思える国々に対しては手取り足取りの方策をとることは当然である。その意味ではもはや日本はこの規格ポータルに「連座する」必要性は無いのかもしれない。しかしこれらの諸国は日本の貿易相手国として最重要国であるだけに米国が最大のライバルであることは間違いない。米国は中国に対しては安全保障政策では対峙する姿勢を貫いているが、通商政策ではこのように友好関係の更なる深化を目指しており相変わらずタフな交渉国(ネゴシエータ)ぶりである。


蛇足ながら日本では北東アジア標準協力フォーラムとして日中韓の標準化団体が定期会合をもって標準化活動の協力を推進しアジア地域での促進を図っているがANSIのようなビジネスライクな双方向規格ポータルサイトは存在しない。しかしビジネス目線から言えばJISとGRとKSが相互参照可能な総合規格ポータルを共同運営して、お互いの非関税障壁を撤廃していくようにすれば自然と具体的な問題解決の糸口となって相互利益に寄与すること請け合いであるがどうだろうか。