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2010年07月29日

DLA,弊社からの請求を受理

AN919 NOT 3を急遽発行
米国防総省ロジスティックス庁(DLA)はこのほど弊社が請求したAN919NOT 2(径違い継手)の訂正要求を受理した旨を通知してきた。誤植など記載内容に間違いがあったためでAN919 NOT2は見直され、新たにAN919 NOT 3が緊急に発行される見通しとなった。なおDLAは弊社にAN919のドラフト案の校正を依頼してきたため、弊社では再度見直すことになった。今回は弊社ユーザからの問題提起によりDODに調査依頼をした結果、MILスペック改訂に至ったわけであるが、ここではその顛末を紹介
する。(DCメール 2010年8月1日 No.274)


AN919の訂正要求
弊社ではユーザから寄せられるMILスペックに関する調査依頼を受け付けている。その数は年間に100件を越える。この中にはMILスペックに掲載される技術的な質問点や不明点、あるいは認定品や枯渇した装備品の調査なども含まれるが、今回はユーザの取得に関するPIN番号が明らかに誤記であることが発見された。この場合ユーザは契約に関わることだけに絶対に見逃すことはできない。


注:MILスペック品の取得の際に契約スペックに間違いが発見された場合、契約当事者は直ちに協議をしてその処置を決めなければならない。MILスペックが間違っていたからと後から責任をMILスペックに転嫁することはできない。


今回のケースはAN919 NOT2において発見された。ちなみにANとはAir Force/Navy の略で米空軍と海軍による航空規格である。当NOT2は2009年に発行され、当時の多くのAN PIN番号が廃止され、SAEのAS PIN番号に置き換えられた。このAN919はREDUCER(径違い継手)の規格であり、いわゆるMILスペック改革の一環としてSAEのAS規格採用がおこなわれ、AN919は廃止されAS5174に代替されたものである。


ところでDODでは通常MILスペックを廃止するとスペックを維持管理するチームも解散する。ひとつのスペックを管理、更新、維持することは多くの労苦とコストを伴うわけでエンジニアを含めた専門家チームが支援をしているが、廃止された場合はチームは解散され、新しく誕生するスペックに移行するのが常である。今回のケースのようにSAEのASに代替するとなると、いわゆる移行の受け渡しを綿密におこなったうえでチームは解散されるのである。弊社ではこれまで多くの旧版、廃版スペックの調査をDODに対しておこなってきたが、このようなDODのチーム編成の移動システムに随分泣かされてきた。


しかし今回の場合は廃止されてまだ日が浅かったこともあり幸いにもAN919チームと連絡を取ることができた。今回弊社ユーザが指摘したような大量の誤記のためか、あるいは取得や契約に直結する理由のためかAN919チームはすぐに全数のチェックと新しくNOT3を出すためのドラフト(案)の作成を申し出てきた。

 
この迅速性には正直いって弊社も弊社のユーザもびっくりした。そのうえスペックの正式改訂アクションを至急おこなうとの内容で二度びっくりした。これまでの対応でDODはこのような訂正については受理したものの、即時改訂をおこなうというのはまれであり、ほとんどは次回の定時改訂の際に修正するあるいは変更するというものであったからだ。逆にいえば即時性の必然性があったわけで訂正部分の量的な問題なのか、それともSAEに代替する装備品であったためなのか、あるいはもっと他の理由があったのかは定かではない。

 
ところで今回のDODとの対話でMILスペックはWEBサイト等から正式に入手できるようになるまでには多くの段階と時間を費やさなければならないことが、いまさらながら改めてわかった。その理由としてはMILスペックはあくまで公文書であり、公文書の更新、改版、その他手続きには多くの約束事が米国取得規則(FAR)等で定められているからだ。そこで今回とられたその手順を簡単に説明しておきたい。

 
DODのMILスペック改訂プロセス
MILスペックを改版・訂正することになると、まずはドラフト(案)を作成し認可をとらなければならない。ドラフト(案)は正式に認可を取り付けたあと、正式ドラフト版として公に周知される。もちろんドラフト版は周知されるもののあくまでもドラフトなので関係者のみが知る場合が多く、一般には入手はできない。ましてや今回送付されてきたドラフト(案)は非公開文書であり、これをもって公の取得契約などに運用することは当然のことながらできない。

 
この点についてDODでは次のように説明している。


1.ドラフト(案)は取得活動には使用できない。ドラフト(案)にはDisclaimer Statement(放棄条項)が記載されており、正式に使用が認められておらず、また修正の可能性があるものとされている。よって承認前に先立ってのドラフト(案)の使用は当然禁止されている。


2.ドラフト(案)が正式に認可された場合、見直しや調整のために45日間の時間的な猶予が与えられる。これはその間に本格的な公文書を作成するための調整期間と取ってよい。


3.そしてその後新たに20日間において正式なスペック文書の作成期間が設けられる。


4.その結果、正式な公文書として公式サイトからダウンロードできるまでには3ヶ月を待たなければならない。

 
もちろんドラフト版が緊急措置として取得契約に運用可能となる場合がある。しかしながらこの場合、運用はドラフト版の発行日付以降であることは言うまでもない。

 
このようにして考えてみるとMILスペックの改版や廃止などが決定された場合、通常それから約3ヶ月間は正式文書の取得はできないことになる。そこで実際には発行日付を前もって調整しておけば、例えばMILスペック速報で見かけるように前日発行されたスペックを公式サイトから入手することができるようになる。これはこういった発行までのリードタイムを調整することでより最新情報をもって取得契約に運用できるように考慮されたものであろうが、発行手続きはあくまでも連邦取得規則等に準じておこなわれていると理解すべきである。

 
なお今回のAN919 NOT 3についていえば、いづれドラフト(案)が正式に承認された以降は具体的な取得計画や調達契約に運用できるものと解釈しているが、一般ユーザが公式サイトからダウンロードできるのは今年の10月以降になってからと思われる。

 

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