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2010年06月30日

NATOとECCMA②

いよいよ始まった次世代NCSの実装試験
 米英が中心となって推進しているNATO次世代NCS(NATO装備品データベース)は、ECCMAが提唱するデータ品質管理の国際標準化戦略と相まっていよいよ具体的な実装試験段階に入った。NATOによればその他の参加国もメーカと政府間でISO22745/8000をベースにした取り組みが開始された。今や各国の補給活動は国際規格化され、共通化した装備品データ形式による高信頼性データの運用が当たり前になりつつある。高信頼性、リアルタイム、且つコスト削減を可能にする次世代NCSはいよいよ実装段階(フェーズIII)に入った。今回はNATOとECCMA(2010年3月1日号)の続編としてその最新動向を伝える。ーDCメール 2010年7月1日 No.272


次世代NCSとは
 
 米英はもちろんのこと、近隣の韓国やオーストラリアまでもが加盟している世界の56カ国が運用するNCS(NATO装備品データベース )は今や1600万件を超えるNSN( National Stock Number )を有している。そしてこのNSNには3300万件もの生きた製品データ(仕様や技術特性データ)が組み込まれており、NATO諸国が国内外で活躍するあらゆる補給装備品の代替品やセカンドソース情報など補給管理には欠かせない共通の情報源となっている。これらのデータ管理はNCSを運用管理するNATO,AC/135委員会で、この膨大且つ多国籍、多種多様な装備品データを一手に引き受けている。

 ちなみに世界中の装備品データをひとつのNSNに組み込むという発想は、元来米国で誕生したものであるが、最も重要で最も遠大なメリットは装備品の取得要求から保守、そして廃棄に至るまでのライフ・サイクル管理をひとつのNSNが提供するということにある。 このNSNを集積したFLISやNCSは装備品データベースとしてWebFLISやNMCRLを通じて世界中に提供されている。NSNは世界の架け橋、ロジスティックスのDNAとも呼ばれている。

 DLISによれば、今やNSNはTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ )の実現を具体化し、装備品の初期コストに加えてランニング・コストを含めた総合コストの削減を可能する戦略的な概念として今後益々進化を遂げるものとして期待されている。この米国に端を発した装備品取得に纏わるNSNの総合コスト概念は今やNATO諸国や国連( UN )における物品取得のオプティマム・ツールとして世界最大の利用者を抱えるまでに膨れ上がっている。

 しかしながら将に世界に共通した製品データベースの構築、そしてその維持管理にはデータの追加・削除・廃棄などの登録業務を含め複雑多岐を極めている。それが結果としてリアルタイムなNATO補給業務に悪影響を及ぼすことになった。また膨大な経費はデータの信頼性を求めるたびに高騰していった。NATOの主要国でもある米国は自国向けにFLIS(米国装備品データベースでNCSの元祖)を構築しているが当然ながらNATOと同様の問題を抱えている。そこでECCMA(米国電子商取引コード管理団体)の提案を引き入れ、10年前から新しい形式による装備品データベースの構築のために米国やNATOのみならず世界各国を対象にした国際標準化戦略を目論んだわけである。
 
 
Smart Step Codification Phase III

 そこで、昨年発表されたSmart Step Codification Phase III について紹介しよう。当初NATOではフェーズ1(第一段階)でSTEPファイルを利用して装備品データベースの再構築を計画したが、フェーズ2ではISO22745とISO8000を組み込んだSmart Step Codificationという概念を想起した。そしてこのたびフェーズ3(第3段階)としていよいよ本格的な次世代NCSの実装試験段階に入った。

 今回総合的な実装試験は英国のBAE Combat Systems社とNATO AC/135の間でテリヤー型支援戦車(Terrier Combat Support Vehicle)の装備品データ構築についておこなわれた。 

 データ要求をする英国NCB(英国NCS管理機構)はデータ提供するBAEシステム社に対して製品ID(識別)やRN(メーカ品番)などのデータ要求項目をeOTD-q-XML(ISO22745-35)形式によりデータ送出した。またそれを受理したBAEと関連会社側は保有データをNCB要求にそったeOTD-r-XML(ISO22745-40)形式でNCBに再送出した。NCBではデータ受理のあと規定されたその他諸元を追加し、新たにNSNを振り分け、最後に総合データとしてBAE社と双方で共有することができた。この支援戦車装備品データの実装試験の結果は従来型のNCS登録システムの完全記述率が平均16%であったのに比べて60%に上昇、また完全記述持間も従来型が平均50分であったのが10分に大幅に短縮された。

 NATOではこの結果を受けてISO22745/8000方式によるNCSシステムデータ更新は数百万ドルの削減と画期的なデータ信頼性の向上に寄与したと評価した。またBAE社でも従来のコストの半分で新規品目の登録ができ数十万ポンドの節約につながったと評価した。このように次世代装備品NCSシステムは国際規格に則った電子データ交換形式により、従来型システムによる経済損失を大幅に防止することが実証されたことになる。なお、NATOのAC/135委員会ではその他のNATO諸国やスポンサー諸国、ベルぎー、チェコ、フィンランド、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランドやロシアなどにも波及させて実装試験を推進させていく予定である。
 
 
 わが国は現在正式なNATO援助(sponsorship)国ではないが、NATO主催のNCS定期会合にオブザーバとして出席しており、こういった動向をその端々で察知している。しかし世界を席巻する装備品の共通化、補給業務の統合化は米国を中心として急速に進化しており、隣国の韓国ではすでに産官学が一体となってこの次世代装備品システム構築の研究に着手している。今後益々国際援助活動も盛んになり、また米豪諸国とのACSA協定が現実のものとなったわが国としては、保有する170万品目ともいわれる装備品データの共通化(NSN化)は必須である。またNCSに参加することはもちろんであるが、TIER1、TIER2を問わずして、このデータ品質管理基準に則った次世代装備品データベース構築の研究に着手しなければならない時期が来ている。
 
 
 
 
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