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2010年01月31日

PRFスペックの考察

MILスペック基礎知識編

MIL-PRF-XXXのようにPRFがついたMILスペックについての問い合わせが多い。MIL-T-XXXのような従来からのMILスペ ックとどう違うのかというのがその主な理由である。そこで今回のDCメ ールはこのPRFスペックをもっと理解するためにDODが用意したPRFスペックを作成するためのガイドブック(SDー15)に基づいて説明しよう。作る立場で理解することがある意味でユーザにとって大切であるとおもわれるからである。詳しくはDOD発行のSD-15(Standardization Directory)を参照されたい。【DCメール】 2010年2月1日 No.262



■PRFスペックについての考察
PRFスペックは1994年のMILスペック改革の際に誕生したといってよい。PDFはPerformanceの略語で「性能」の意味がある。PRFスペックはスペック番号にMIL-PRF-XXXXと表示することでその存在を表現している。しかし一部のユーザにとっては今だに従来からのMILスペックとの違いをはっきり理解できていないのでPRFが付いたスペックはどのような内容なのか、どのような目的で誕生したのかを出来るだけわかりやすく説明したい。この説明のもとになるSD-15はPRFを作成するためのガイドブック(手引書)であるが、ユーザにとってもPRFを理解する上で大変興味ある内容なのでご一読を勧める。

■PRFスペック誕生とその背景
一般にスペック(仕様書)とはユーザの要求をメーカに伝えるものである。それは運用するべき要求を技術的な言語に変換して行われるものである。たとえば許容できる製品とは何か、製品の許容をどう決定するかなどである。だからスペックには必ずこの2点が記載されている。そこで問題はどうやって製品を作るかをどうやってメーカに伝えるかということである。そしてそこには必要とする製品の作り方を知っている場合であってもメーカが知らないこともあるということである。その場合その知識を明確に伝えることができれば問題はない。すべてがうまく伝達できるならニーズを満たす製品を取得する事ができるからである。しかしもし必要とする製品の作り方をメーカが知っていたなら今までその機会を見逃してきたことにならないだろうか。今までDOD(米国防総省)は強制的にメーカの革新的な能力を抑えてしまい、改良され、よりコストの安い、より確かな製品を得る可能性を制限してきたのかもしれない。例えば工具の製造について考えてみたい。手のこぎりは何世代にも渡りなんの変更もなく現在でもいろいろな用途に使用されており十分に役立っている。このような場合もっと良いものを作れといっていたずらにメーカに強制することは意味がない。そんなことよりもどうやって製品を作るのかがわからないとき、また知識が十分に伝わらないとき、あるいは本当に改良が必要なときに問題が浮上するのだ。そのような時に従来のMILスペックのようにそのやりかたまでを記述して強制してしまうことが重大な害をもたらすのである。PRFスペックの必要性はそこにある。PRFスペックはそのやりかたや詳細な記述をやめて、メーカの裁量を持って要求に合う方法を見つけてもらうスペック様式なのである。

■PRFスペックのありかた
製品の性能要求を効果的に記述するためにはまずユーザのニーズと技術特性を理解しなければならないことは当然である。これを達成する最も良い方法はユーザをも含めた市場分析を行うことである。市場分析では要求項目を決定するために民間技術を記載した全ての文書を調べなければならない。新しい要求を満たすためにはまず民間品から確認する必要性があるからだ。そこでこのような場合市場動向の調査や分析からはじめなければならない。またさらにユーザが分析に関わることで運用上の要求項目に対する理解度が向上し、ユーザとのコミニケーションが図れるメリットも生じることになる。要求する文書は緻密さを追及するより許容の範囲や臨界値(Threshold)を要求することでユーザとの柔軟性を反映させなければならない。この市場分析によりどのような範囲でPRFスペックが記述可能であるのかを決定させることができるようになるのである。

■PRFスペックの記述事例
PRFスペックとは必要な結果に関する要求事項を述べることであり、準拠していることの証として評価基準を提示することであるが、結果を得るための方法論は述べてはいない。またPRFスペックは製品や作動環境、インターフェースおよび互換性のために必要な要求を機能的に定義することである。そこでPRFスペックを明確にするために具体的な記述方法を例を挙げて説明しよう。

①結果を明示した表現であること
例:MIL-S-901で指定された衝撃試験(A型、1級)において回路遮断機は作動しないものとする。

②運用環境を定義した表現であること。
例:接眼レンズは最大高度1万フィートにおいて作動するものとする。

③準拠すべき基準を明示した表現であること。
例:探知器は、ほこり、よごれ、指紋、湿気など目視検査によって検出されるような異物を含まないものとする。

④準拠すべき基準を表現すること。
例:タンクは最大30MPHの速度でアバディーン実験場の地形輪郭コースを横断するものとする。

⑤接面要求を表現すること。
例:靴は標準男性のサイズのものであるとする。9, 9-1/2, 10,10-1/2, 11, 11-1/2, 12, 12-1/2, 13

⑥作動環境を定義した表現であること。
例:装置はマイナス46℃からプラス71°Cまでの温度において損傷無く耐えられるものとする。

■PRFスペックの不必要な記述事例
上記の通りPRFスペックは従来からのMILスペックのような記述はしない。それは詳細に述べることによって強制し、あるいは自由を奪ってしまう場合があるからである。そしてそれはより早く、安く、そしてより良い製品を作るうえでの障害となってしまうことになりかねないからである。PRFスペックを明確にするためには下記のような不必要な記述は避けなければならない。

①より細かい記述
例:補強は耐食鋼ワイヤから成るものとする。16Z未満のホースは単層の組 み紐があるものとし、16Zおよびそれ以上のホースは2層の組み紐があるものとする。ワイヤはここで指定される要求に応じられる強度を保つためにチューブの上に張られるものとする。このようにPRFスペックにおいては組み紐の鋼線と層の記述はホースを補強するための最良な方法でない。この場合の機能的な要求とはホースが指定された量の圧力に耐えることであるからである。

②作り方の記述
例:布は毛羽立った綿から作られて、縦糸と充満した中身のために一本糸で紡ぐられるものとする。織り方は5ハーネス・サテンであるものとする。充満した側は装丁され、表(おもて)として確認されるものとする。このスペックは布を作る方法をメーカに教えており、どのような布かまたその品質について述べてはいない。PRFスペックにとっては不要な記述の例である。

■PRFスペックの要点
ところでPRFスペックを記述する際には要点の見直しをする必要がある。PRFスペックはユーザへの要求事項についてはっきりと表現しなければならない。一般にDODはMILスペックを作成するに当たり提案者が提案し、国がそれを評価し、内容を受け入れる。そして最終的には技術的な要求に影響されるすべてのユーザを含めた統合的な内容にしなければならない。そこでPRFスペックを作成するに当たってまず技術的な要求を記述するためには次のような運用上の要求を徹底的に理解しなければならない。

①どの要求が最低要求(Minimum)かまた臨界要求(Threshold)か

②それぞれの臨界とは何か

③どんな拘束が適用されるか

そしてこれらを記述する最良の方法はユーザが参画しているかということである。またPRFスペックの記述にはその運用を統治し、自然環境を利用し他のシステムと融合する全ての拘束性が指摘されていなければならないということである。

■PRFスペックにおける特性値の記述について
PRFスペックを記述する際に危険なことは不必要な情報を織り込むことである。何を除いたらいいのかは何を含んだらいいのかと同じくらい重要である。調達者は取得する製品に対してすべての要求を精査しまた価値の無い要求を排除しなければならない。そこでPRFスペックは性能、データ、必要条件、検証方法、それと見落としを防ぐことはもっとも不可欠な必要性であることを反映しなければならない。そこでPRFスペックの要求にはつぎのような特性の記述がなされなければならない。

①要求は質的というよりは、むしろ量的でなければならない。
スペックは提案や入札を行う人々およびそれを評価する人々に要求が何であるかを正確にわからせないといけない。量的なデータに基づかない要求は解釈に誤解を与えることになるからである。もし性能パラメタがスペックに明確に詳しく説明されていなければ標準に対して提案を評価し契約後に性能を実施することは非常に難しいからである。
例:トラクタの全長は150インチ以下であるものとする。全幅は52インチを超えないものとする。全高は85インチ以下であるものとする。

②要求事項は検証可能でなければならない。
ユーザは製品が必要に応じて作動するか分析、試験またはデモで決定できなければならない。また検証可能な要求はメーカをも助ける。ユーザが装置の凹凸について確かめる場合、それが何を意味しどうしたらその製品の必要条件を満たすか良い考えが浮かぶかもしれないからである。
例:旋盤主軸はロックウェル「C」スケールにおいて60以下または65以上の硬度を持ってはならないものとする。

③共通性を許容する記述でなければならない
PRFスペックにおける共通性問題は慎重にしなければならない。スペックは適切なレベルで維持させるために共通性の要求を挙げなければならないが、その過度な要求の解決法を課してはならない。
例:条項は制御表示装置があるType Aユーティリティ・トラック (リットン社のインストール・キット880512, 880515, 875267,880510, 880511および80513)付きの地位方位決定システムAN/USQ-70(PADS)の設置用に作成されているものとする。条項は装置にアクセスする24ボルトのDC電力ケーブルの設置のために作られるものとする。PADSシステムの大きさはおよそ26x31x20インチで、重さは317ポンドとする。

④要求は特定材料や特定過程から独立していなければならない
PRFスペックに記載される要求はスペックを変えないで材料や過程を変えることが可能でなければならないからである。
例:すべての草刈り機は民間規格さび照査処理をもって扱われるもとし、MIL-SPEC-xxxに従ってさび検査されるものではない。


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