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2009年10月14日

MILスペックと認定について

初心者にもわかりやすく解説 
ご好評をいただいたMILスペック知識シリーズ。MILスペック認定についてのご要望やご意見に答えるために、新たに「MILスペックと認定」と題してできるだけわかりやすく解説した。わかりやすく書くことは難しくお叱りを頂戴することになりそうであるが、新しくMILスペックに接する方はもちろん、MILスペックの認定について知りたいユーザにお勧めである。
 長文であるが吟味してお読みいただければ幸いである。【DCメール】 2009年10月15日 No.255


■MILスペックと認定

 1994年米国防総省(DOD)によるMILスペック改革が行われてから15年が経過した。DODは当初の改革方針はすでに達成したと発表したが、日頃スペックを吟味しその意とするところを汲み取るわが国のユーザにとって、MILスペックをその変遷も含めて体系的に捕らえ、且つその変化について正しく理解することが中々できないのが現状である。
 そこでここでは前半にご好評頂いたMILスペックの基本知識シリーズからその流れを改めて紹介した。また後半ではご要望の多いMILスペックの認定に関する情報を和訳してできるだけわかりやすく紹介した。時間があれば初めから通してお読みいただければより一層理解されると思う。なおここではDODが制定し管理する標準化文書を総称してMILスペックとしている。
 
 
■MILスペックが世界一膨大で厳しい規格といわれるワケ

 われわれの生活圏にある規格品、例えば洗濯機、テレビ、ボールペン、セータなどは、すべて「人間の通常生活圏」で100%の性能を発揮するように作られている。この性能を測定する尺度は温度や湿度、衝撃や重力などがあげられる。MILスペックは遠い宇宙や空間、深い海底、熱い砂漠地帯や熱帯雨林また北極や南極のような極地においてその性能を100%発揮するように求めるもので、われわれの生活圏にある材料やその試験方法、運用基準はまったく違ったものとなる。これがいわゆるMILスペックが「厳しい規格」(正しくは厳しい仕様)といわれる所以(ゆえん)である。
 現在MILスペックは約3万件という膨大な種類が存在するが、それは航空機や電子通信システムの部品や材料のみならず、靴や帽子、缶詰、鉛筆削りといった生活用品や事務用品に至るまで存在するからである。しかしMILスペック改革によりこのような特殊で高価な仕様品は段々と見直され、現在では民間品にとってかわるものも増えている。
 
 
■MILスペックとはなにか

 DODによる取得を潤滑に図るための標準化文書であるといえよう。この標準化文書のなかにはMILスペックの他、MIL規格やドローイング、ハンドブックなど多種多様な文書が含まれている。数の上でMILスペックが圧倒的に多いので、この標準化文書全体のことを通称「MILスペック」と呼んでいる。近年DODによる民間規格の取入れが急増したり、MILスペック自体も変形して、昔のイメージの「MILスペック」という言葉も死語化しつつある。
 
 
■ではMILスペックとどう向き合ったらいいか

 MILスペックは平たく言えば防衛装備品などの取得に関わる契約文書である。たとえばある装備品の取得をする場合、かならず複数のMILスペックが、あるいはその関連スペックが引用される。MILスペックを単独で使用することはない。それはMILスペックが多くのスペックを引用する形式を取っているからである。
 また、MILスペックは契約時点の最新版を使用することが義務付けられているから全てのスペックも契約時点に合わせて、あるいは契約の相手方の意向に合わせて適用する版を統一して臨まなくてはならない。そして、契約当事者にとってはどんどん新しい版を適用していかなければならないから絶えず最新版を追いかけなければならない。MILスペックの版はその時代を反映し、またその時々の流れを組み込んで大きく変遷しているからである。
 
 
■MILスペックはどのように変わってきたか

 それは例えば、「するものとする」から「することができる」というように運用のあり方が変わってきている。MILスペックの内容には必須条項と参考条項があり、その2つを区別して運用しなければならない。
 民間スペックに代替されるとスペック自体の「文化」も大きく変わり、まるでまったく違うモノになってしまい、多くのユーザが困惑することもある。MILスペックの記述にはルールがある。詳しくはMIL-STD-961や962を参考にするが、記述される単語や節の定義づけは必須となる。また、改廃文書の形式も知っておく必要がある。しかし、そのうえでスペック誤記の問題はこういった問題を越えて存在する。
 現在3万件に及ぶ膨大な専門分野には大勢のスタッフが配置されている。世界中のユーザから送られてくる質問疑問その他多くの問題解決のためにこれらDODやSAE,ASTMなどのスペックや規格専門委員会では公式回答や助言あるいは参考情報を提供している。これらの多くは契約に絡む公式情報のエビデンスとして変重要な情報となっている。
 
 
■MILスペックが改訂や代替されるとどんな問題に直面するか

 最近のスペック調査事例からわが国のユーザはどのような問題に直面しているのかがわかる。一番多いのは新旧比較からの不一致による疑問である。スペックが変遷する中、仕様内容や数値がどのように変化したかを知ることは重要である。そのプロセスにおいて多くの疑問や質問が生じるがわが国のユーザの場合、解決しないまま次工程に進んでしまうケースが多い。このことを自戒するユーザも多いがこういった問題には避けて通れない技術的な側面がある。また明らかな誤植も存在する。
 わが国ユーザにはMILスペックに潜む細かい問題をひとつひとつ解決していく環境が十分に与えられていない。このことは企業風土の問題と同時に業界全体が抱えるネックとなっている。
 
 
■ところでスペックと規格とはどう違うか

 ほとんどの人は不注意に誤った使用法をしている。スペックとは仕様(書)である。開発や調達、取得をするために要求に合った品目や材料、手順や役務についての技術要求を記載したものをいう。また表記方法も定められていて、例えば、表題、目的、適用文書のように順番に表記される。米国内だけでなく、世界中にある米国の軍事施設で用いられるすべての物品やサービスは膨大な数によるMILスペックで賄われている。
 一方、MIL規格は規格(書)である。計測が可能で比較検討できるように記された評価基準のことを言う。MIL規格はMILスペックとは違いさまざまなケースで利用される。MILスペックは特定な装備品、用途や環境によって異なる。だから数の上ではMILスペックはMIL規格に比べて圧倒的に多い。
 
 
■MILスペック以外にはどのような仕様や規格があるか

 DODではMILスペックやMIL規格以外に図面や手順書、陸海空軍独自スペック、米国連邦政府スペックや規格が用意されている。またDODが採用した民間規格もかなり数多く見受けられる。実際の契約ではこのような性格や目的の異なる文書を組み合わせて利用している。
 
 
■連邦スペックとはなにか

 米国連邦政府によるスペックやスタンダード、QPLなどはDOD以外の省庁でも利用され、MILスペックと同様にDODが管理する。MILスペック改革以降、これら連邦スペックも性能スペックや民間規格に切り替わるケースが増えているが、もはや契約に使わない連邦スペックは廃止され新しい契約には使用無効となる。連邦スペックも民間規格やCID( 民生品項目記述票 )などへ代替するような基準を設け代替する方向へ向かっている。 
 
 
■MILスペック改革とは何か

 1994年、当時のペリー国防長官は「新しいスペックと規格のあり方」と題する通達をした。これが「MILスペック改革」の原点と呼ばれている。そしてこの序論で「米国政府は将来のために国を挙げて民間の最先端技術の導入と民間品の採用、そして官民の統合による安価で防衛ニーズにあった産業基盤の拡大を目指す」とした。
 しかし、この新しい方向性以上に重要視されたことは「従来からの慣習の打破」にあった。米国にも長い慣習の裏には改革をせざるを得ない温床があった。そのひとつがMILスペックにまつわる慣習である。特殊ゆえに硬直化した組織や機能、そしてこれにより産業は停滞し、不要なまでの性能や形式化された試験方法や監督検査などすべてが温存されていた。
 そしてなによりも非経済的であったことが大きな問題であった。改革された内容を見ると不要なMILスペックは段階的に廃止し、代わりに民間規格を登用した。民間規格の登用は、いわゆるMIL品から民間品に切り替えるということである。また、できるだけ随意契約を避け、競争入札制度を取り入れた。そのうえMILスペックを流用する場合も、出来るだけ参照源を減らし、従来の過程を重要視した考えから結果を問う形式に変更した。性能スペックはこの代表例である。
 このように米国は国家事業としてMILスペック改革に挑み、不要な贅肉や老廃物を削ぎ、現在の西暦2010年計画はもとより300年後に向けて、多くの先人が成してきた遺産を大切に継承していかなければならないとしている。
 
 
■代替スペックとはどういう意味か

 DODは長い間MILスペックを採用してきたが、そのために随分コストを費やした。中にはMILスペックで調達しなくてもいい物品やサービスがあった。一方多くの技術革新により民間の技術レベルは急激に向上し、今では十分に代替できるレベルになってきた。米国は冷戦後の国防予算の削減と技術レベルの見直しのために改革を行いより安く、早く、そしてよい」をモットーにSAEやASTMのような民間規格を採用しはじめた。これがいわゆるMILスペック改革であり、これら採用された民間規格をDOD Adopted
Standards( DOD採用規格 )と呼んだ。
 しかしながら、航空機や軍特有のシステムや装置など、MILスペックでなければならない分野の取得や調達では今後ともMILスペックを採用している。昨今では民間規格からMILスペックに戻るような傾向もあり、MILスペック改革も新たな方向性が示されている。
 
 
■INACTIVEの意味

 正式には Inactive For New Design( 新規設計には無効 )と言う。これもMILスペック改革から生じた改訂情報のひとつである。INACTIVEとは「MILスペックが廃止されるまでの間従来からの継続契約や再契約において有効とされ、一方新規の設計や契約には無効とされるスペックをいう。
 一時INACTIVEスペックが非常に多く発行された時期があり、ACTIVEスペックやCANCELスペックと肩を並べるほどであった。これはまさに数多くのMILスペックが性能スペックや民間規格に代替されるために無効あるいは廃止されることを物語っていたがこの傾向も近年では落ち着いている。
 
 
■廃止スペックの代替をどう考えたらいいか

 DODではもはやMILスペックを必要ないという決定を再度見直した後で廃止としている。まだ必要であるという場合は、性能面から製品を記述した性能スペックや性能と設計詳細から製品を記述した詳細スペック、 民間の試験方法や慣習から製品を記述した民間規格 、必須インターフェース特性を記述したインターフェイス規格のような新しいスペックに代替させている。だから廃止スペックに代替がない場合は、もはや必要ないという烙印を押されたスペックであり、代替された場合はやはり必要であるとの考えで残したモノと理解できる。
 
 
■スペックの廃止はDODにとってリスクがないか

 DODではなく契約業者のリスクや責任が増加することになる。契約業者は絶えず契約条件に合った製品を提供する責任があるが、いままではしばしば、製品不良はDODが押し付けたスペックや規格のせいにしてきた。しかし現在では契約業者が性能要求を満たすためのスペックや規格を選択するためにこのような言い逃れは出来ない。
 
 
■性能スペックとは何か

 これは MIL-PRF-XXXX と表記される形式による新しいMILスペックである。従来からの古い形式のMILスペックが性能スペックに切り替わってきている。性能スペックは古いMILスペックのように細部に指示する方法ではなく、結果としての値の要求をしている。これにより官指定による無駄な工程や方法が改良され、民間業者による最新技術の導入による手法が求められ、より安く、早く、そしてよりよいものが取得できると考えられている。
 性能スペックは要求を「結果」で求めており、その( 結果を求める )方法は述べていない。またその( 要求される )項目や作業環境および特性などに対しては「機能本位な」要求を定義付けている。 
 
 
■何故スペックは改訂されるのか

 1994年の改革以前は約4万件以上あったMILスペックは、改革により大幅に削減されて現在では3万件余りである。DODの傘下にあるDLAにDSPOという組織があるが、ここでは大勢の職員が陸海空に所属する各分野別のMILスペック改訂作業の管理を行っている。MILスペックは常に最低要求基準が求められ、より安く、より早く、より良くするために改訂されるが、一方では戦略的な考えに基づいて改訂・廃止されることもある。
 
 
■MILスペックの復活とはどういうことか

 2005年のDOD通達はMILスペック改革による適用の規制を撤廃するものとして画期的なものとなった。この通達はMILスペックの適用をし易くするためのものという解釈で、これによりMILスペックが復活( Revitalization )し、従来過度に走っていた民間品活用が米国防衛装備品に限ってはMILスペック品の登用が復活する高まりとなった。しかし、この通達は昔のようにお金のかかる古色蒼然としたMILスペック品を要求するのではなく現代の軍事技術の粋を結集した、より複合的で効率的な要求となっている。なおこの背景には2001年の同時多発テロによる危機管理意識が芽生えたものとする論評がある。
 
 
■MILスペックは今後増えるのか

 MILスペック改革により一時はMILスペックが無くなるという噂が広まったが、DODは不要なスペックは廃止して民間スペックに代替するが、必要なMILスペックは改版などをして残していくことを表明した。しかし、2001年の同時多発テロはアメリカの国防ビジョンを大きく変えた。またMILスペック改革の動機は主に資源不足からきたもので、逆に民間品活用による新たな問題点も浮上してきた。
 そこでMILスペックと民間規格を得意の分野や項目によって「すみ分け」させることで新たにMILスペックの再活用を図ることとしたというのが現在の傾向である。たとえば一度民間スペックや民間規格に移行しておきながら、ふたたびMILスペックやMIL規格に戻す復活ケースが多い。またDODと民間規格団体の間でやりとりをしていて、どちらが主体的に管理していくかが「揺れている」ケースも少なくない。一時MILスペック改革が断行されたときは、いずれMILスペックは無くなるのではないかというような憶測も流れたが、現実問題として基本性能を要求するMILスペックやMIL規格は民間スペックには取って代われなく、結果的に元のMILスペックやMIL規格を復活(Reinstatement)させなければならないという現実が改めて証明されたわけである。
 わが国のスペック・ユーザもこのような現実をよく理解したうえでMILスペックを適用することが大変重要である。従来から時の政府の方針に左右される感のあるMILスペックであるが、このように米国政府自体がMILスペックの「独特な」環境を民間に移管することの難しさに直面していることを十分に理解しておくことが大切である。また、そのうえでユーザは個々の問題に取り組む姿勢が求められているのである。なお近年MILスペック総数に大きな変化はない。
 
 
■代替先のない廃止スペックをどう考えたらいいか

 MILスペックの廃止の裏には従来からの方法の見直しがある。新しい要求は可能な限り性能で述べるということである。すなわち契約業者は要求に見合った製品をいかなる過程においても製造できるということである。MILスペックが代替なしで廃止されるということは代替が不適当であると判断したからで、いかなる民間規格も代替として採用されず、また要求を換えて応札や契約行為に含ませてはならないとされている。
 
 
■閲覧できないMILスペックがあるのか

 公開されるMILスペックは配布レベルA、即ち公に配布することが認められた配布制限のない文書として定義付けされる。また多数の配布制限レベルが付帯したMILスペックは特定の配布先のみに限定配布される。また公開されない非公開文書もある。
 
 
■スペック・ツリーとは

 スペック・ツリー( Spec Tree )はMILスペック体系の基本構造である。MILスペックの項目に必ず適用文書があり、試験方法はこのスペック、塗装はこのスペック、また梱包はこのスペックという風に細分化されている。またその適用文書もさらに他の文書を参照する。その構造がツリー(幹から枝葉に分かれる)のようであることからスペック・ツリーと言われる。しかしMILスペック改革により参照の階層(TIER)を省略した。参照は第一層だけに留めあとは目安とする。従来は第3層までするなどユーザにとって大きな負担となっていたがスペック・ツリーも簡素化されてきた。 
 
 
■DTLスペックとは何か

 詳細スペック( Detail Specification )のことである。性能スペックとは違って、使用される部材や要求の達成方法、製造方法などの設計要求を記述してある仕様書のこと。性能と詳細の両方の要求を記載する仕様書は詳細仕様書であると考えられる。また性能スペックに切り替えられない要求が記述されている仕様書でもある。
 
 
■取得とは

 取得とはAcquisitionの訳で、物品やサービスをその概念、創始、設計開発、試験、契約、生産、配備、後方支援、変更、廃棄、補給などライフサイクルとして捕らえ調達や購買とは言葉を異にしている。米国では20世紀初頭から取得に対する概念が導入され、そのための取得規則が整備されている。
 
 
■廃止文書が契約で引用された場合どうするか

 契約に変更がない限り、廃止か否かに関係なく、引用されたスペックや規格は有効である。しかしながらDODによる通達ではこのような場合契約担当者はスペックや規格等による付加価値の無い要求を変更し、取り除くことを奨励している。DODでは契約の変更が無い限り適用文書は廃止か否かに拘わらず有効であるとしている。
 
 
■無効文書が契約で引用された場合どうするか

 一般的に新しい契約には使用できない。スペックのある部分や過程を段階的に廃止しようとするのに、新規で使用されるスペックや規格に無効文書を引用することによりその使用を永続させまた広げるのはまったく意味の無いことだからである。
 しかしながら例外がある。それはインタフェースや共通運用性の要求に対応する場合である。例えばスパーク・プラグ用の民間品記述( CID )を作成する際、ある要求は新規設計には無効となるような旧型エンジンのシリンダーに装着しなければならないとし、加えて他の要求は新型エンジンにも装着をしなければ成らない場合である。この場合、新規設計には無効文書の使用は双方で適切である。しかし、CIDが無効な素材や端末設計の使用を要求した場合は、設計上および廃棄素材や部品の見地から、この新規設計に無効な仕様書の利用は不適切であるといえる。無効文書は最新版や廃止とは違ったカテゴリーに区分されている。インアクティブ文書は、上記の如く例外を除いては新規設計などの開発案件には使えない文書として了解されている。
 
 
■階層を第一層のみに限定するとは

 1994年6月29日に発行されたDODの覚書で、生産に関する契約におけるスペックの参照は第一層だけに限定されると述べている。そして、それ以下の層の参照文書は単に「目安だけのため」とされている。長官は実行を直ちに開始するように指示したが、交渉中の案件に影響させるわけにはいかず、したがって180日の据置期間を許諾した。1995年1月以降の契約に付随する参照文書は第一層に限定することになった。従来の方針では「適用文書は第三層までさかのぼり参照する」とされていた。
 
 
■図面に記載されたスペックは目安か

 それは場合による。図面が(契約で)義務付けされているならば、図面に参照されるスペックや規格も義務付けされることになる。したがって、仮に設備・製品スペックが(契約で)義務付けされた文書ならば(例えば,契約にて直接引用されるなど)、そのスペックを参照する図面も義務付けされることになる。さらにその図面にリスト化されたスペックは第一層参照文書とみなされるので、義務付けされることになる。しかしながら、図面が「義務付け」されていないなら、その参照となるスペックも「義務付け」されないことになる。
 
 
■プライム(主契約業者)の仕様書に廃止スペックが記載された

 主契約業者は従契約業者に対してその要求方法を教える責任がある。一般的にMILスペック等文書の廃止は契約には影響を与えない。また将来的な契約に対しては、主契約業者は廃止文書に準拠するか、代替文書に準拠するかを指示する必要がある。重要なことはDODは主契約業者に対して廃止書の取り扱いについて指示しないということである。
 
 
■わが国(海外諸国)にもMILスペック改革を適用するのか

 DODは廃止され代替されたMILスペックが契約上問題であるとするが、他国の組織がそれらを使用することを禁じることはできない。本質的に契約業者は契約したものを納品する責任がある。スペック改革の方針や原理はDODが関与する契約だけに適用される。しかしながらDODが関与する国際契約ではMILスペック改革による考え方が踏襲されることは間違いのない事実である。
 
 
■DODの認定活動について

 DODは近年米国内での認定品の生産に留まらず、取得改革や世界経済の変動により海外諸点での生産活動を推進している。DODの武器システムには電子・機械部品が満載されており、適正なシステム性能を維持するために正常な機能が発揮されることが求められている。これらの部品要求についてはDSPの管理下におかれ、調整済みのMILスペックや関連する製品の認定作業が行われている。
 1980年代まではこれらの部品はほとんど米国内で生産されていたが、取得改革や世界経済の変動により、急速に海外諸点での生産に移行している。それぞれのMILスペックには専門の制定部門があり、各軍や製造メーカが求める「性能要求」を策定し、各部門との調整作業を行っている。MILスペックが制定され発行されると認定部門は部品を供給するメーカの選定を行い部品の認定を行うことになる。
 この認定作業にはQAのアセスメント、すなわち製造メーカの認定システムや生産能力、試験方法などといったMILスペックに準拠した性能を発揮する製品を保証するための評価を行う。この評価には細部にいたるドキュメントや製造プロセスの調査や現地での監査などが含まれる。この認定プロセスが終了すると製造メーカの品質システムや生産設備、テストラボといったものが生産能力ありとして認定されるのである。そこでメーカは認定された部品製造プロセスを用いて、テストラボでMILスペックに要求される認定試験を行う。そしてその試験結果はQAに報告され、合格審査を取り付けることになる。QAはその部品がスペック要求に適っていることが確認されると、その製品およびメーカはQPLやQMLに登録されることになる。 注:現在QPLやQMLはQPDに移行している。
 
 
■DODの海外における認定活動について

 近年部品生産は大きくグローバル化しており、そのために標準化政策は改正されDODの標準部品( QPLやQMLアイテム )生産を海外諸点でおこなうことを認めるところとなった。これはNATOと諸外国とのISA(標準化条約)に沿って達成され、諸外国とDODとの互恵認定プロセスのルールの取り決めとなった。海外製造メーカにとってその監査や認定プロセスは( 従来のもの )とは多少違ったものであった。
 もし、ISA条約が米国とその他の国に存在するならば、認定を遂行しようとするお互いの国はNQAを適用することになる。この認定プロセスは、米国内と同様に海外メーカに対してもおこなわれる。こういった海外行動はDODとのISA条約を締結していない諸外国の工業界に拡大することである。すべての監査業務、試験報告、認定などすべては米国NQAの責任となり米国内のメーカに対してと同様なプロセスとなる。海外出張などの付加コストは認定を希望するメーカが負担することになる。この地球規模の供給体制への移行は同時に膨大な民間分野、特に電子市場において急成長が望まれ、結果としてDODの直接調達はすくないシェアとなろう。
 
 
■民間スペックにとって満足する製品とはなにか

 一般的に、MILスペックはその記載の中で製造方法やプロセスについても言及しているが民間スペックでは表記された数値の規定に留まっている。そこでスペック・ユーザとしては、こういった問題になんらかの技術的な見解がほしいものであり、またそこに認定に関する理解がなされるものと思われる。
 卑近な例としてAMSを取り上げてみよう。AMS文書は多くの製造メーカやユーザの意見の総意から成り立っている。であるからAMSスペックはリスト表記された特性の最良なる集約の表れであると言えよう。またその意味でAMSスペックは任意によるスペックと言える。AMSスペックは有益な付加価値をメーカやユーザに与えている。AMSスペックを利用するすべての関心事は経済的な節減である。しかしリスト表記された特性に対しての見解の相違については、常にメーカとユーザが協議し、同意するかしないかということになる。AMSスペックにリスト表記される特性についてはSAE協会が総括的な審査行ったうえ、すべてを考慮した結果の表記となっている。
 AMSスペックは、記述的にもまた技術的にも有効であることを保証するために5年ごとの定期的な見直しが行われている。このように技術的な先進性はAMSスペックの改訂の根拠となる場合とならない場合がある。AMSスペックにとっての基本原則はコスト要因である。
 
 
■民間スペックの認定業務について

 米国政府の取得規則ではQPLの作成とその運用を義務付けすることで、MILスペックが運用されてきた。認定検査に合格した製造業者はQMLに掲載され、またその物品はQPLに掲載され、ユーザは安心して使用することができた。
 しかし、例えばSAEによれば法的理由により、SAE規格はQPLを含まず、またQPLの作成に関与しないという。MILスペックから移行した場合QPLも付随して移行されその要求や手順を含むことがあるが、実際にはQPLは文書中のセクションや旧版参照として添付するのみである。また早急に承認された移行規格は文頭でその旨を述べている。移行規格に付随したQPLはSAE規格の改訂版が発行されるまではそのまま維持される。
 すなわち、移行されたスペックやQPLについてはSAEは責任をもたないということである。なおDODの見解として廃止されたMILスペックのQPLは無効であるが、多くのQMLは同等品を代替品として製造している可能性があるという。これは移行されたスペックのQPLは無効となるが代替品として可能であることを示唆している。
 
 
■PRIの認定活動について

 航空機用燃料タンク用腐食防止コーティングの MIL-C-27725B が廃止され、AMS-C-27725A に移行した。これにより QPL-27725 も廃止され、PRI-QPL-AMS-C-27725 に移行した。この PRI-QPL-AMS-XXXX とは何か、従来のQPLとはどう違うのか。
 このQPL-AMS-XXXX というAMS認定品目表はDODがMILスペックをAMSスペックに移行する際に維持管理したものである。また、MIL-QPLというのは、MILスペックを利用する際の認定品目表である。DODでは民間での認定品目表の使用にも考慮している。PRIはDODのQPLを切り替え、PRI-QPLを創始した。PRIはASやAMSスペックの初めてのQPL認定業務を行っている。PRIはメーカから MIL-QPL を PRI-QPL に創始することを要望されてきた。
 これらのメーカは MIL-QPL認定業者であることの証明として情報を提供している。QPGはまた、現在の試験データも要求している。QPGが承認すると、PRIはその業者を PRI-QPL に掲載することになる。そのPRI-QPLが十分に業者がリスト化され、充分に利用されると、MIL-QPL はその結果消滅していくことになろう。このようにSAEの外郭団体としてPRIは、多くのMILスペック認定品問題を解決するために創設されている。これはSAE自体が任意による業界機関として認定品制度を維持できないために外部組織として創設したものと思われる。
 
 
■MILスペック認定品に関する諸問題

 MILスペック最新版に適合した認定品の取得はわが国の防衛航空業界にとって必要不可欠なものとなっている。しかしながら認定品を定め認定品目表として公表するDODではQPLの最新版公表の維持が非常に厳しい現状にあるためにユーザにとって認定品の正式取得をどうするかという問題が浮上している。そこでDODはQPLには記載されていない認定品についてはDOD認定機関による発行の認定証の確認を行うべきだとしている。
 
 
■MILスペック品の認定情報の精度に対しての疑問

 わが国に対してのMILスペック装備品情報は物品に付随した情報として海外メーカからわが国ユーザの海外支店や取り扱い商社経由でもたらされるが、ユーザではこのようなルートからの情報は一般的に精度が低くて信用性に欠けるものが多いと指摘している。その理由は製品に付随する情報レベルやまたメーカからの回答だけでは認定情報としての精度がぼやけて調達の意思決定にそぐわない場合があると言われているからである。ユーザの海外支店や商社は製品に対する情報やルートは備えているが認定を客観視するユーザの意思決定部門の評価は厳しい。そのような回答だけで企業の調達業務を左右させることは危険性が高いというのが認定品決定の現場の真意である。この場合少なくとも認定品証明書の携行は必須である。
 
 
■DODがQPLを止めて認定品目データベース(QPD)にした理由

 DODはQPLを新しくQPD に切り替えた。その理由はQPLの発行が認定品の更新に追いつかないからである。ユーザはQPLに掲載されない認定品が数多く存在するという事実をこまめに確認をしていかなければならない。ユーザはMILスペックやその認定品に関する調査が調達の方向性を変える重要な情報であるだけに十分注意して当たらなければならない。またそのための確認作業やエビデンスの入手は企業の信頼性を維持する上からも大変重要な業務となっている。
 ここで重要なことはユーザの立場から内容の確認をし、必要に応じて問題を提起する必要があると言うことである。ひとつのスペックが改版されたり、廃止され、その結果認定品や認定業務自体が大きく変化する裏側にはスペック制定者側、如いてはそのスペックや規格に絡んだ多くの関連団体や企業等の事情というものが反映されており、ユーザも権利を主張することが認められているということである。
 
 
【お願い】
DCメールの性質上、出来る限り日本語にしてお伝えしているが、適訳であるとは限らない。また、紙面の都合上全ての原文を引用できない場合がある。なおDCメールは参照情報源としてだけ使用されるものであり、完全性や正確さを保証したり主張したりするものではない。また当メールに記載された内容を無断で引用または転載することは禁じられている。