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2008年01月20日

MILスペックの基礎知識 ーDODからの教訓ー

DOD(米国防総省)からの助言や見解のなかにはMILスペック上では判断できない運用上のノウハウといったような貴重ともいえる情報を提供してくれることが少なくない。米国のMILスペック・ユーザにとってみれば当たり前の知識でも商習慣の違いなどからわが国ユーザは馴染めないところもあるようである。MILスペックを上手に読みこなすためにはこのような運用上のノウハウともいえる知識を蓄積していくことも大切であろう。今回は最近の事例の中から興味ある「教訓」を引用した。



■ユーザはメーカに認定証の提示を求めることができる

ユーザはメーカからの回答を鵜呑みにすることが少なくない。しかしながらDODの認定品情報についてはこの限りではない。認定するのはDODであってメーカではない。弊社が受けた事例でも「メーカ(米国)は認定されていると言っているが・・・」というケースが多い。このような場合DODの見解はあくまでも認定品や認定業者はQPLやQML(あるいは最近ではQPD)として公開しているわけで当該品が最新版のQPLにない場合はメーカに認定証(letter of authorization)の提示を求めることができるとしている。このようなケースは従来からDODのQPLやQMLの発行に時間がかかったためメーカに認定証が発行されても掲載されていない場合があったからである。DODは現在QPLやQMLをQPDに切り替える方向で作業を進めている。


■認定証が無い限り認定品とはいえない

このケースも前述と同様にメーカにより認定品といわれる部品がQPLに掲載されていないためにDODの確認を必要とした。このケースではDODは当該部品についての認定証は未だ送っていないことを証明した内容になっている。なおDODは認定証をメーカに送付した後にQPLに掲載するとしている。


■ユーザは非認定品の受領責任がある。

ユーザはいろいろな理由で非認定品や旧認定品を購入する場合が少なくない。DODはこのケースでは最新版スペックでの認定がなされるまでは旧版スペック品の購入は購入者が認定受領に関しての責任を負わなければならないとしている。


■調達要求のあるスペックは廃止できない

たびたびinactivated for new designに対する質問がある。このケースはその回答のひとつである。ユーザから何故廃止にしないでInactive fornew designに留めておくのかという依頼があったが、いろいろな理由で廃止が検討されるMILスペックはこのように引き続き調達要求がある場合はCancel(廃止)にしないでinactivated for new design(新規設計には無効 )という暫定処置を取る場合がある。上記のとおり廃止が検討されながら調達要求があるということは移行や代替と言った取り変わるべき別のスペックが無い状況にあるといえよう。なおスペックがinactivated fornew design となった場合はいずれCancelされるものとなっている。


■民間に移行したスペックの責任は民間にある。

MILスペックが民間規格に移行した場合当該スペック改廃の情報については、DODはMILスペックを民間に移行した場合は引き続きDOD採用規格(DOD Adopted Standard)として管理し運用している。しかしながらDOD採用規格の改廃責任は民間団体に移行しているために表記が不統一であったりまた意思の疎通も無い場合がある。このケースでは当該スペックは当該民間規格団体の所有によるものであることを改めて表明している。


■スペック記載は明らかな誤記である。

MILスペック(に限らず民間規格も)は誤字脱字などのミスプリント(誤植)が多いことを知っておくべきである。ユーザにとってMILスペックは神聖かつ調達契約上の重要な条項に値するものであるから誤植は見過ごすわけにはいかない。またDODもこのようなクレームを受けた場合は上記のような迅速対応をすることになっている。MILスペック誤植に関する依頼は枚挙に暇がない。上記の場合はネジのスレッド幅の表記数字が誤植であり、DODは早速訂正するためのアクションを取るとのことでユーザは安心して業務に取り込むことができるようにしている。


■試験の適用値は全体要求仕様書(General Spec)ではない。

適用スペック間での要求が異なるケースはよくあることである。この場合はGeneral(全体)スペックと個別スペックの試験要求値が異なるためどちらの要求を取るべきかを打診した。上記回答は個別スペッ
クの値を適用するようにとの回答を得た。一般に個別スペックは全体スペックを補填するために採用されるので、このケースのようにMIL-X-XXXXはgeneral requirementスペックとして調達全体には重要であるが個別案件については個別スペックが適用されるということである。


■General(全体)スペックに記載された場合は個別スペックには記載しない

このケースは改訂された個別スペックから記述が削除されたことについて見解を質したところ前述の回答とは逆にGeneralスペックに記載され、適用される場合は個別スペックから記述を削除することになっているということである。前述の回答と合わせて考えるとGeneralスペックと個別スペックとの関係が明確に表現されていて興味深い。しかしながらスペックユーザにとってみれば、このようにその都度見解を質すことで運用していくことが望ましい。


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