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2007年08月01日

廃止と復活を繰り返したMIL-C-26074の足跡

MIL-C-26074は無電解ニッケルの被覆(Coating)に関するスペックとして防衛装備品にとっては欠かすことのできないスペックであるが2003年に廃止され現在は民間スペックに切り替えられている。しかし長い間業界標準として利用されてきたMIL-C-26074は廃止された今もなお運用されている。ところでこのスペックは廃止と復活、移行、分割を繰り返してきており現在はDODが10年前に採用したAMSスペックに再び移行している。はたしてこのスペックの変遷はなにを語っているのだろうか。今回はこの事例を通してMILスペックの改廃の歴史を検証してみたい。


MIL-N-26074 (1956年11月27日初版発行)
MIL-N-26074(NICKEL PLATING, CHEMICAL, REQUIREMENT FOR)は無電解ニッケルのメッキ(Plating)に関するスペックとして今から50年も前の1956年11月27日に制定された。当時はタイトルも上記のように無電解(Electoless)とは言わず、化学的(Chemical)としているが、当時のスペック概要では「電気によるメッキではないもの」と注釈している。なおスペック番号もMIL-C-26074ではなくMIL-N-26074であった。その後A版になった際に現在の原形である無電解ニッケルの被覆(COATINGS,ELECTROLESS NICKEL, REQUIREMENTS FOR)の表現が使用されその後改訂が繰り返れた。そしてE版が1990年に制定された以降、このMILスペックは大きく変遷することになる。

MIL-C-26074E NOTICE1 (1994年10月25日発行)
1994年になって当時のE版に廃止通知(Cancel Notice)が発行された。そして以後はSAE-AMS-2404C(Plating, Electroless Nickel)、SAE-AMS-2405B(Electroless Nickel Plating Low Phosphonus)およびSAE-AMS-2433A(Plating,Nickel Thallium-Boron or Nickel-Boron Electroless Deposition)に移行すると発表した。この1994年当時は将にMILスペック改革のさなかであり、このMIL-C-26074も他のMILスペックと同様に廃止され民間スペックに移行するべく措置がとられたのである。なお移行先のSAEのAMSスペックは既に民間製品向けに制定されていた無電解ニッケル・メッキ用のスペックであった。

MIL-C-26074E NOTICE2 (1995年8月22日)
その翌年、DODは再び廃止通知2(NOTICE 2)を発行し、前回加えて今度はASTM S607(Specification For, Autocatalytic Nickel-Boron Coating for Engineering Use) とASTM S656(Guide For Autocatalytic Ncickef-PhosphorouDsepositionon Metal forEngineerinUsage) およびASTM B733(Specification For Autocatalytic Niicckel-phosphorous Coating)を今後の調達向けスペックとして追加移行した。このように廃止通知が2回連続して発行されるのは異例であるが、この場合は前回の廃止通知を補填したものである。

MIL-C-26074E(SH) NOTICE3(1998年2月25日)
しかしその3年後の1998年になるとDODは復活通知(Reinstatement)を発行したのである。しかもこの復活通知は全軍向けではなく海軍(Navy)向けとして改めてMIL-C-26074Eを再度利用することを表明した。これはすなわちMIL-C-26074E(SH)としてMIL-C-26074Eの後ろに(SH)を付帯させることで海軍に限定調整(Limited Coodination)した文書であることを示している。 なお通知の内容は今後MIL-C-26074Eは米海軍(Naval Sea Systems Command, Department of the Navy)向けに復活するとし、今後の取得(調達)業務に利用できるとした。なおここで重要なのは海軍向け以外の運用は先の廃止通知が生きておりASTMやAMSを利用するとしていることである。

MIL-DTL-26074F(2003年2月4日発行)
この海軍向けの復活通知から更に5年後の2003年、F版に改訂されたMIL-DTL-26074は配布制限文書(controlled distribution document)として限定公開となったことが発表された。このF版の改訂の際に従来のMILスペック形式からDTLスペック形式に切り替えられ、スペック番号体系もDTL表示になった。このDTLスペックは従来のMILスペックの特長を色濃く残す内容の新しい形のスペックで、PRFスペックとは一線を画すものである。このDTLスペックにした理由は将にMILスペック改革による民間移行を改めて再検討したものでMILスペック改革の方向転換が始まったものと思われる。その結果このDTLスペックは特化した用途として一般には非公開の措置がとられた。

MIL-DTL-26074F NOTICE 1 (2003年2月5日発行)
その翌日の2003年2月5日付けにてF版の廃止通知(Notice1)が発行されMIL-DTL-26074Fはここに廃止されることになった。そして米海軍(Naval Nuclear Propulsion Program applications )向けについては新しい MIL-DTL-32119に移行させた。なお従来のMIL-C-26074EはSAE AMS-C-26074に移行するとした。このSAE-AMS-C-26074は内容的にMIL-C-26074Eとまったく同様で番号体系とスペックの表紙だけが変わったものである。なお、移行先のSAEでは将来的にSAE独自のスペックに切り替えるべく検討を加えていくとするのもである。

MIL-DTL-32119 (2003年2月26日発行)
ところで米海軍向けの新しく紹介されたMIL-DTL-32119(COATINGS,ELECTROLESS NICKEL, SPECIAL APPLICATIONS)は2003年2月26日に制定された特定用途向けの無電解ニッケルの被覆用で一般公開はされない。この文書の配布レベルはFとなっており、DODが指定する特定のユーザのみが運用できるとしている。

SAE-AMS-C-26074B (2005年10月発行)
一方、民間に移行したSAE-AMS-C-26074は新しくSAEによって管理されることになったが、当面は番号が変更されただけで内容は従来のMILスペックのままであった。その後SAEは2005年10月付けにて発行されたAMS-C-26074Bは通知が発行され。NONCURRENTになったことを発表した。ここでいうAMSのNONCURRENTとは「従来から広範に利用されてきたスペックが現状の設計に対しては今後とも生産することは可能であるが、新規設計においては運用することを推奨しない」という意味で、MILスペックのINACTIVEスペック(新規設計用に無効)に該当するものと思われる。

解説(RATIONALE)
SAE-AMS-26074Bでは過去からの経緯の解説(RATIONALE)として次のように記しているのでここで改めて紹介する。旧版であるSAE-AMS-C-26074AはMIL-C-26074Eが復活したために廃止された。MIL-C-26074EはMIL-DTL-26074Fに移行した。MIL-DTL-26074FはNAVSEA NUCLEAR向けであり、従来からのMIL-C-26074はSAE-AMS-C-26074に移行した。SAE-AMS-C-26074Bは復活し、NONCUREENTとして指定された。新規設計用にはAMS 2404, AMS 2433および他の同様なスペックが考慮されるものであるとしている。

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