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2011年06月14日

NCS加盟とPBL政策

ーT1加盟による今後の課題ー
防衛省はこの4月27日にロジスティクス政策における永年の課題であったNATO/NCS加盟をようやく果たした。弊社ブログでは以前から【NCS加盟】の重要性を掲載してきたので、この件が公表されるとアクセスが急増した。そこで改めてNCS加盟後の課題を位置づけるとともに、現在防衛省が取り組んでいるPBL政策との関連性についても言及しておきたい。(DCメール 2011年6月15日 No.295)


■NCS加盟について
早くからFLISやNCS研究を推し進めてきた弊社は、数年前からNCS加盟についての意見や提案を防衛省から求められていたので今回の公式発表には心から賛同したい。NCS加盟については今後防衛省のみならずわが国の産業界にとっても大きく関わる問題として位置づけられてくるものと思われる。


このNCSとはNATO Codification System(Codificationはカタロギングの意)のことで、いわゆるNATO版FLISである。NATOでは迅速かつ最新な装備品情報を運用し、加盟国は識別、類別および補給のためにあらゆる装備品に13桁のNSN番号を付けて一元化し、共通したシステムを運用している。ロジスティクス情報や装備品情報というと軍事色のイメージがあるが、実際は材料や部品などが圧倒的に多く、用意された分類コードはプロペラ・ブレードから宇宙船、および石鹸入れから洗濯機までありとあらゆる需品や日用品などが1500万種類も整っている。データ諸源は保管、供給源、代替品、包装・梱包、特性値、危険性物質および廃棄などの情報が含まれている。


ところでこのNCS加盟には2つの段階がある。今回わが国はT1(ティアワンという)加盟を果たしたのであるが これはまさに入門(エントリー)段階でNCSデータベースに登録された各国データの閲覧が許されるものである。現在わが国の自衛隊が保有する170万品目ともいわれるわが国装備品データのNSN化や国際共通化は真の同盟の証ともいうべきT2(ティアツーという)段階をクリアーしなければなならない。近年、日米、日豪、日韓によるACSA協定の調印が国民の知るところとなったが、この米韓豪はともにロジスティクス先進国で既に次世代NCS導入に向けての研究に余念がない。特にT2加盟に対してはわが国装備品産業界を本格的に関与させるために、経産省の協力は必須である。とにかくT2加盟に対する意欲と研究を立ち上げ、産官学を通じてNCSを論じる場を創設することが急務となろう。


NATO主要国やT2諸国ではすでに生産から廃棄までを含む装備品ビジネスはお互いに多国間で共有・管理されたものとなりつつある。そこでわが国の秀逸な資材や部品、需品などの装備品の世界市場でのビジネス機会を増加させるためにも早期にT2加盟の準備を始める必要があるからである。


ちなみにお隣の韓国は既にT2国として益々自国装備品を世界市場に輸出している。世界の装備品市場において、韓国の実績は目を見張るものがある。わが国のメーカによれば、最近、韓国製NSN部品の輸入が急増しているという。韓国によればNCSにより防衛装備品と民間品をリンクさせ、またNCSについて中国を教育しており、ロシアの構築を支援しているという。すでに韓国語によるNMCRL(NCSデータベース)の検索が可能となっており、これらは韓国取得改革によって設立したDAPAを中心に韓国NCBがデータ変換を強化し始めていることによるものであるといわれている。韓国は既にNCSを通じてNATO諸国との装備品情報の一元化により、米国を含むNATO諸国からはロジスティクス分野において最も信頼される国へと変身しているのである。 


ところでここで次世代NCSについて簡単にふれておく。NCSは将に世界の装備品データベースとして、その構築そしてその維持管理にはデータの追加・削除・廃棄などの登録業務を含め複雑多岐を極めている。それが結果としてリアルタイムなNATO補給業務に悪影響を及ぼすことになった。また膨大な経費はデータの信頼性を求めるたびに高騰していった。NATOの主要国でありNCSの生みの親である米国は自国向けにFLISを構築しているが当然ながらNATOと同様の問題を抱えている。そこでECCMA(米国電子商取引コード管理団体)の提案を引き入れ、10年前から新しい形式による装備品データベースの構築のために、米国やNATOのみならず世界各国を対象にした国際標準化戦略を目論んだわけである。このように米英が中心となって推進しているNATO次世代NCSは、ECCMAが提唱するデータ品質管理の国際標準化戦略と相まっていよいよ具体的な実装試験段階に入っている。NATOによればその他の参加国もメーカと政府間でISO22745/8000をベースにした取り組みが開始されている。今や各国の補給活動は国際規格化され共通化した装備品データ形式による高信頼性データの運用が当たり前になりつつある。高信頼性、リアルタイム、且つコスト削減を可能にする次世代NCSはいよいよ実装段階(フェーズIII)から実践段階に入りつつある。

■NCSとPBLの関係
今年1月に防衛省から発表された新中期防衛力整備計画(新中期防)で正式に取り上げられたPBL(パフォーマンスベースド・ロジスティクス)はDOD(米国防総省)が10年以上も前から主に航空機システムの即応性を「最適化」するために、運用持続コスト(O&S)を大幅に低減させ産業界の協力と自主努力を要請した新しい取得形態である。その運用実績はPBL最大のプロジェクトといわれるF-35を含め200を超える。


PBLは前述の通り装備品の初期コスト( 調達コスト )とランニング・コスト( 運用・保管・廃棄コスト )を含めた総合コスト(TCO)の概念を導入し、装備品の取得を従来のような物品や役務に求めるのではなく、性能や能力を維持する保証を求める概念として登場したもので、つまり契約金額は個々の装備品の対価として支払われるのではなく、エンド・アイテムの性能や能力を維持するための保証( ギャランティ )として請けるというものである。そこでDODやNATOでは次世代FLISやNCSをPBL政策を取り込んだものとして現在、実装試験( フェーズIII )をおこなっている。つまりPBLは次世代NCSに負うところが多いということである。それがPBL政策はT2国により成り立つとしている所以である。

 
従来型ロジスティクス・システムの問題点はなんといっても新しい要求に対する信頼性の欠如とリード・タイムの長さ、そして膨張するコストが挙げられている。例えば現在、NATO各国にあるNCB(NCS管理機構 )が、メーカからデータを吸い上げた際に必ず起こるデータの欠落や誤記による不完全データの提供により、システム自体の信頼性が損なわれている現実がある。

 
そこで米国の電子商取引の推進母体であるECCMAと手を組んでISO8000とISO22745をISOに提案し、データ特性の授受における電子化や自動化を促進させ、より早く、よりよく、そして安いデータ構築を成し遂げることを目論んでいる。昨年発表されたSmart Step Codification Phase IIIでは、当初フェーズ1( 第一段階 )でSTEPファイルを利用して装備品データベースの再構築を計画したが、フェーズ2ではISO22745とISO8000を組み込んだSmart Step Codificationという概念を想起した。そしてこのたびフェーズ3( 第3段階 )としていよいよ本格的な次世代NCSの実装試験段階に入った。この総合的な実装試験は英国のBAE Combat Systems社とNATO AC/135の間でテリヤー型支援戦車( Terrier Combat Support Vehicle )の装備品データ構築についておこなわれた。

 
このように現在米国を中心とするNATO諸国やT2国である韓国や豪州では、国際標準化されたeOTDを組み込んだ電子データ変換システムの構築を産官学共同で研究している。また別の国々ではECCMAベンダによる実装試験に取り組んでいるのである。

 
ちなみにこのeOTDはDODの傘下にあるDLISとECCMAの間で誕生したいわゆる異なった工業技術データ・フォーマット同士の交換や転換を可能にするアーキテクトをもち、膨大なデータを維持管理するFLISやNCSの信頼性を高め、スピードアップさせ、総合コストを大幅に削減する米国産官が一体化したプロジェクトである。また従来からの品質管理の国際標準であるISO9000に準えて、データ品質管理基準として新しくISO8000を誕生させることになったのである。このようにして現在世界のロジスティクス先進諸国ではNATOを中心とした次世代ロジスティックス・システムの構築を急いでおり、2013年までには遅くとも新しいコンポーネント( 要素 )を組み込んだ次世代システムの稼動を目論んでいる。

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